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私の読む 「宇津保物語」  楼上 下 ー3-

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 いろいろと真面目なことが珍しく思いになる様な事だから、朱雀院は感動するばかりに本心から物を言われるのを、内侍督は若い者のように浮ついた言葉でなくて、相手が恥ずかしくなるようなお答えをした。

 右大臣兼雅は朱雀院の妻内侍督に対する態度が気になって、

「早くご帰還なさればよいのに」

 と、気が気でない。

 嵯峨院は内侍督に、蒔絵の唐櫃一つに、衣箱一具、唐綾織物の夏の装束。また、女房に、女装束廿具、童四人、下仕四人、に織物のかざみ、綾の上袴をつけて渡した。

 左右の楽人には二人の院から被物があった。

 宴が終わってお帰りになった。二院は、

「何遍繰り返し聞いても飽きが来ないほど素晴らしい琴の音だったな。何時もこのような音を聴きたい」

 と、内侍督の容姿や態度はどんなのであろうと垣間見たくて、まだ帰りたくない気持ちで二人の院は帰って行かれた。

 仲忠の意向も珍しいほど世に稀なもので、母内侍督、娘犬宮を大事にして世話をするのを世間の人は評判にしない訳がない。

 次の巻は、女大饗の様子を、大法会の有様を紹介する。季英左大辨の娘に仲忠が琴を教えることなど、これだけ一つに纏められないほどであるので、中より分けて執筆する、と本には書かれてある。

    宇津保物語終わり