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超絶勇者ブレイブマン その23

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 幸田幸子(こうださちこ)は花道家に仕えて2年目の家政婦である。年齢は26歳、性別はもちろん女性だ。
 さすがに住み込みではなく、朝御飯の仕度のために来て、晩御飯の支度をしたあとくらいに帰宅するが、花道家専属である。
 また、自動車免許だけではなく、調理師免許や介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)などいろいろな資格も取得しているらしい。まさにスーパー家政婦といったところであろう。
「それで、その幸田さんはもうすぐ来るんだよね?」と勇気が訊ねる。
「ああ。さっき駐車場に車を止めて、こっちに向かってるって電話があったぜ。……っと、言ってる間に来たみたいだな」
 正義は横断歩道を挟んで向かいの方を見ながら言った。正確に言うと、ちょうどビックカメラの入り口付近にいるようだった。信号が青に変わり、幸子が駆け寄ってきた。
「お待たせ致しました、正義お坊ちゃん。こちらがご学友の皆さんですね。本日は私、幸田幸子が皆さんの保護者を務めさせていただきます。正義お坊ちゃんともども、よろしくお願い致します」
 幸子の深々としたお辞儀に合わせて、正義以外のみんなも「よろしくお願いします」と頭を下げた。互いにお辞儀をするというのは、バスツアーや修学旅行とも違う不思議な光景であった。幸子は普通の洋服姿だったが、どこか気品を感じさせた。
「それと、本来なら私が先に来て、皆さんをお待ちしなければならないところ、お待たせしてしまい申し訳ありません」
 本当は幸子ももう少し早く来るつもりだったのだが、駐車場を探すのに時間が掛かってしまったのだ。
「いや、まだ待ち合わせ時間より前だし、こいつらが早く来すぎなだけだから」
「だって、別荘だなんて、わくわくするもん! でも、私よりも先に可恋ちゃんが来てたよ」
「うん。私も早く起きちゃったし」
「こっちはお兄ちゃんがなかなか起きてこなくて大変でした。掛け布団引っぺがして無理やり起こしましたけど」
「そりゃ土曜日にまで早起きしたくねえよ。はあ、ねみい〜」
 希望は大きな欠伸をして目を擦った。まだ寝惚け眼という様子であった。
「別荘までは車でも時間が掛かりますし、車内でお休みになってもよろしいですよ。毛布も人数分用意しています。それでは、駐車場の方にご案内させていただきますね。5分ほど歩きますのでついてきてください」
 先ほどとは違い、今度はまるでバスツアーか修学旅行のように、幸子に先導された。向かう間も愛のお喋りは止まることを知らなかった。
「それにしても、一体どんな車なのかな。やっぱりリムジン? 黒塗りのやつ」
「分かりやすい金持ちイメージだね。それなら通学するときには赤絨毯敷かないと」
「横で団扇を仰ぐ執事さんがいてもいいね、勇気くん」
「あとは語尾にベイビーって付けたり……?」と可恋もなんとか会話についていこうとするが、微妙にポイントがずれていた。
「あー、そういうのがありなら、とんがり頭で、ともだちん――」
「こらこら、女子中学生が朝から、下ネタ言わない!」
 そうこうしているうちに、駐車場の車まで辿り着いた。
「それでは、こちらのワゴン車で皆さんを別荘までお送りしますね」と言いながら、扉を開けてくれたが、予想と違ったことに愛は少し残念そうな顔をしていた。ちなみに車体の色は白だった。