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でんでろ3
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novelistID. 23343
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うす塩ゴリラ

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ジャンカジャンカ、ジャンカジャンカ、ジャンカジャンカ、ジャンカジャンカ、ジャーンジャッジャジャジャーン

 ステージに2人の若者が飛び出して来る。若手お笑いコンビ「うす塩ゴリラ」の小池と軽部だ。

「さぁー、それでは、今日も、張り切って参りましょー!」
「うす塩ゴリラのショートコント! オフィスにて」

2人は、やおらスーツの襟を正す仕草をする。
「あー、軽部君。今日から、ウチで働く訳だけど、全然緊張する必要ないから」
「はっ、ありがとうございます。小池係長」
「じゃあ、私、ちょっと、席外すけど、電話が来たら受けてくれる?」
「はいっ、分かりました」
「じゃ」
そう言って、小池は、一旦、舞台袖から消えてしまう。
そのとき、電話の着信音が鳴る。舞台上の机の上には電話機が置いてある。
その瞬間、大爆笑する軽部。手をたたき、腹を抱え、舞台上で捧腹絶倒した後、一言。
「いやー、ウケた。ウケた」
「その『ウケる』じゃねーーーーーっ」
と、叫びながら、舞台袖から助走をつけた小池が、軽部に跳び蹴りをかました。

 2人は、急いで立ち上がると、並んで立ち、両手の手のひらを客席に向け、それで円を描きながら、両足は交互に、ピョンピョンと跳ね上げつつ、
「う~すうすうす、うす塩ゴ~リ~ラ」
といった。

「うす塩ゴリラのショートコント! パート2、買い物帰り」

 今度は、二人とも、パンパンに膨れ上がったレジ袋を持って、1人ずつ舞台の両袖から出てきた。
「あ~ら、軽部の奥さま。お買い物ですか?」
「ええ、ちょっと。そういう、小池の奥さまも、お買い物?」
「ええ。奥様は何をお買いになったの?」
ここで、2人の表情が、真剣なものに一変する。
「俺のターン、ドロー。『生卵』更に、ドロー。『鶏肉』融合―っ!アルティメットモンスター、『親子丼』の召喚に成功。更に、場に伏せカードを1枚置いてターン終了」
「ぬぬぅ、1ターン目から、融合のカードを使ってくるとはやるな! 負けてられるか! 俺のターン、ドロー。『生さんま』更に、ドロー。マジックカード、『大根おろし』」
「なにぃ! マジックカード、『大根おろし』の効果で、攻撃力が1000アップだとぉ?」
「ふっ、あかさたな。いや、浅はかな。それだけではないわっ」
「はっ、ま、まさか」
「そう、フィールド効果、『秋の味覚』で、攻撃力は更に1000アップする」
「ぐゎあぁぁあぁぁーーーーーーーっ」
「ふっ、思い知ったか。ターンエンドだ」
「ふっ、その程度か」
「なにぃ? 今、何と言った?」
「『いい気になるな』と言ったんだ」
「『ふっ、その程度か』って、言ったんじゃないの?」
「聞こえてんじゃねぇか。まぁ、いい。俺のターン、ドロー。ふっ、真のデュエリストはカードを引き寄せる力を持っているものさ。『親子丼』を、生け贄に捧げ、『松茸』を召喚!」
「なっ、なっ、なっ、なにぃぃぃっ! ば、ばかな! なぜ、貴様がそのようなスーパーレアカードを持っている?」
「ふっ、主人が、部長に昇進したのよ!」
「……、く、くそぅ、負けん。そんな金にあかせたデッキには負けん。俺のターン。ドロー。コーラ。更に、ドロー。メントス。融合……」
「やめんか!」

 2人は、並んで立ち、回れ右をすると、アキレス腱の準備運動の様に足を開き、腕は歩くときに腕を振るように曲げて、首だけグキッと客席に向けた。

「笑いもうす味? いや、濃厚! うす塩ゴリラでした」

ジャンカジャンカ、ジャンカジャンカ、ジャーンジャッジャジャジャーン
作品名:うす塩ゴリラ 作家名:でんでろ3