アザレア少女
1.春、入学。そしてクラス割り
春を感じさせる暖かな日差し
暖かく心地良い風が頬を撫でた
本来ならまだ桜が咲いている季節だが風で散ってしまったのだろう、所々に緑が目立つ
春、それは別れと新しい出会いの季節
私は3月に母校である中学に別れを告げた
そして4月、私は新しい高校に入る
新しい出会いというのはあまり無いかもしれない
というより別に私は無くても構わない
幼い頃から一緒に育った所謂幼馴染み達が同じ学校の為、困りはしないだろうし退屈もしないですむと私は思っている
まぁクラスが違えば少しは困り、退屈するかもしれないが。
取り敢えず自分のクラスを見てこようと思い私はおそらくクラス割りの紙が掲示されているだろう場所の人混みに近付いた
…………………………何ていうかまぁ、見えない
当然と言えば当然なのだが余りにも人が多すぎて背が高い低いの問題ではない
このままでは紙に近づくのですら危うい
誰か私と同じクラスの人は居ないのだろうか
というより幼馴染み達が知らないだろうか
あ、後は凄く目がいい人
私は凄く目が良いとは言えないからそういう人が居てくれると助かる
周りを見渡しても幼馴染み達の姿は無い
そして凄く目がいい人も居なさそうだ
取り敢えず暫くは少し離れてこの人混みが落ち着くのを待つとしよう
にしても人が多い
初っ端からこんな感じで私はやっていけるのだろうか
そんなことをボーッと思っていると視界の端に見慣れた姿が写った
私がそちらに顔を向けるとあちらも気付いた様で笑顔でこちらに向かって走ってきた
……………あ、コケた
勢いよくコケた、石にでもつまづいたのだろう。
顔から勢いよくビタンとコケた
私は仕方ないと思い、近寄った
「桜、大丈夫?」
「あ、朱理ちゃん……、らいじょーぶ……!」
「……膝から思いっきり血が出てるけど」
「え。あぁあぁぁぁっ!?」
「桜うるさい、ティッシュと絆創膏ある?」
「う、うん。あるよ」
「貸して」
桜は本当に抜けているというか危なっかしい
ちゃんと見ていないと事故りそうというか大怪我をしそうだ
幼馴染み達の中で一番危なっかしいのは桜だな
多分全員一致の意見無しだ
「ありがとう、朱理ちゃん!」
「ん、そう言えば他の人達は?」
「それが春くんは寝坊で蘭ちゃんはそれに付き添って遥希くんはもう先に行っちゃってたみたいなの」
「春は相変わらず、蘭は本当面倒見が良すぎる。自分が遅刻になるかもしれないのに」
「多分ほっとけないんだよ、蘭ちゃんは」
話しながらふとクラス割りの紙が掲示されている方を見れば、先程よりずっと人が減っていて今なら見えるだろうと思った
私は桜にそれを告げ掲示されている紙に近寄った
そして私はその紙を見た瞬間、退屈しないで済みそうだと口元が自然と弧を描いた