残存
それでもふと、残ってしまった自分について考えてしまうのだ。
遠い昔に逝ってしまった兄と残ってしまった自分。
ドウシテ自分が残ってしまったのだろう。
器量がいい者が先に逝ってしまうのがまるでこの世界のコトワリで
残された僕に向けられるものは酷く痛い。
自分が一番よくわかっているのだ。
何をやっても人並みにすることすら叶わず
無駄に呼吸を繰り返しているだけのつまらないイキモノ。
その呼吸ですら満足に出来ないくせに、それでもまだ残っている自分。
所詮、出来損ないなのだ。
何故、人と同じことが出来ないのかと罵られ続けて。
逝ってしまったものと比べ、
何故、醜い方が残っているのかと嘆息され。
自分が一番不思議で仕方ないのだ。
悲観的になっているわけではない。
答えを出すことはとっくに諦めている。
生きている素晴らしさを押し付ける人間の言葉も
慰めの言葉も
全てが嘘くさくて気持ちが悪いだけで正直なところ勘弁して欲しい。
根本的に他者など皆、考え方が違うのだ。
人と人が分かり合えることなんてない。
ただ、僕はここに残っているから
言葉を吐き出すぐらいなら……いいだろう。