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目が覚めた。
そこは黒一点さえない真っ白な空間。
"ここは…どこ…?"
誰に問うでもない疑問を少女は呟く。
"…どこだろう"
少女に焦りはない。
どこにいるかも分からないのに。
"不思議…何だか落ち着く…。"
ふと、誰かに呼ばれたような気がした。
"…?私を呼んでる…?"
少女は声…いや声かどうかも分からない何かの音に向かって
近付いていく。
怖さはない。不安もない。ただただ好奇心のようなものだけが少女を動かす。
"…気のせい…?"
そう少女が口にした瞬間だった。
突然さっき聞いた音とは対照的に、
まるで耳元で言われたかのような張り詰めた声がした。
"たすけて…!!"
誰かの助けを求める声。
少女の胸がドクンッと脈を打つ。
"今っ…"
そう少女が口を開き……
少女は目を覚ます。
少女が寝ているベッドの横では何時もと同じように
目覚まし時計がうるさく鳴っている。
少女の頬には一筋の涙が伝っていた。
"今の夢は…?"
少女は呟いた。