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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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平和主義

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私は常に、平和を求めている。
誰とも口論をせず、誰とも衝突せず、誰とも求め合うことも無く。
戦争と平和について考えた結果、愛とプライバシーが地球を救うのではないかと私は考えた。しかし、インターネットが地球を網で包んでしまったがための雁字搦めがあり、戦争は冷戦に、平和は平凡な和に姿を変えた。

コミュニケーションの輪が拡がり、今では地球は一つのネットワークを通じてお友達である。戦争の中継に胸を痛めて声を掛け、平和のために募金を募る。平和主義の私には、思いも付かない方法だ。

私は携帯電話を取りだし、画面を眺めた。そして文字打ちの練習をし、溜息をついた。それが話し言葉に勝つ日は来ないと思い、周りを見回すと、皆、同じことをしていた。同じ儀式に参加する日が来ようとは思っていなかったあの日、私は戦っていた。

「狂ってる」と鳥が言った。
見ると、頭の小さな鳩がそこに居て、首を突き出しながら歩いていた。
「クルックー」
鳩はまた鳴いて、鳴き声はやがて人の声に変わっていった。

あなたは平和主義の人でしょう。周囲との協調性に富み、調整役が向いています。

常に平和を求めるようにカスタマイズした私に下された評価は、甘くて辛い。思想と言論の自由のために筆を執り、誰もが画面を見つめて暮らしている。もしも、文字打ちが話し言葉に勝つ日が来たら、人が鳩に勝つ日は来ないだろう。

それから、刹那の楽しみと目標を探し、人はそれぞれの軌道を歩き続ける。
貴方が私に出会う日が来るとしたら、肩を叩いて下さい。私の視線は常に地面を見つめ、画面に目をやることを拒んでいるでしょう。


――――― 私は、平和の象徴が住む公園で空を見上げた。
目の前の池に陽の光が落ちて、水面はオレンジ色に網を作り出していた。
平和主義は言った。「戦いの後に、平和は来るのです」と。


~ 終 ~
作品名:平和主義 作家名:みゅーずりん仮名