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超絶勇者ブレイブマン その11

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「それじゃあ、もうこれで一件落着かな。いろいろあったけど、元飼い主が悪い人じゃなくて良かったよ。やっぱり仕方ない事情があったんだもんね」
 愛は胸を撫で下ろした。そして、可恋も同様の想いを抱いた。しかし、勇気はひとつだけ気になることがあり、未来に訊ねた。
「あのさ、産まれてきた子猫って一体何匹だったのかな?」
「ほえ? 未来ちゃんの友達ふたりがそれぞれ1匹ずつ、可恋ちゃんが1匹飼うことになったわけだから3匹でしょ?」
「未来ちゃんはそんなこと言ってないよ、愛ちゃん。猫を飼ってくれる友達の数よりも、産まれてきた子猫の数の方が多かったってだけで」
「はい、産まれてきた子猫は4匹でした。けど――」
 俯いて答えた未来の声色は、これ以上迷惑はかけられないという調子だった。
「じゃあ、そのもう1匹は? ひょっとして、まだ飼い主が見付かってないんじゃない?」
 未来は無言でこくりと頷いた。捨て猫問題はまだ解決していなかったのだ。
「分かったよ。じゃあ、その子猫のことも俺たちがなんとかするよ。いいよね、ふたりとも?」
「でも、私も2匹飼うのは難しいかも……」
「だったら、またチラシを配ろうよ、勇気くん! 今度は、次の飼い主探しってことでさ」
「いや、それだとまた警察官さんに迷惑がかかるかもしれないし、もっといい方法があると思うよ。
 ペットショップにいるお客さんに声をかけて、子猫を飼ってくれないかって頼んでみるんだよ。
 それなら、多分動物好きの人が見付かるし、店員さんに許可を貰えば誰かに迷惑をかけることもない。いいですよね、警察官さん?」
「そうだねえ、許可を得てやる分には構わないよ。私は仕事があるからここを離れられないけど、迷惑にならないように気を付けるんだよ」
 こうして、未来を含めた4人はもう1匹の子猫がいるという場所へ向かった。そこは愛が子猫を見付けた場所よりも遠い場所だった。
「あそこです」
 勇気たち3人は、未来が指差す方を見た。そこは公園であった。言われるがままに探してみると、ベンチの近くにダンボールがあり、そこに子猫がいた。
「この子がそうなんだね。でも、どうして1匹ずつ別の場所にしたの?」
 愛が素朴な疑問を口にした。
「それはやっぱり2匹一緒だと、拾ってもらいにくくなるかもしれないって思って」
「よし、それじゃ二組に分かれて、近くのペットショップを回ってみようか。俺は、えーっと、可恋ちゃん、一緒に来てくれるかな。
 愛ちゃんは未来ちゃんと一緒にお願いするよ」
 その編成は、誰が一番未来と一緒にいても不自然ではないかと考えた上でのものだった。
 勇気自身は下手をすると、少女を誘拐しているかのように見られてしまうし(――兄妹でもおかしくはないが)、可恋は人見知りのため自分のことで精一杯だろうからである。
 そうして、勇気たちは東方向へ、愛たちは西方向へと向かうことになった。勇気たちが出発するのを見送ってから、愛たちも出発しようとした。
「猫ちゃんはもうしばらくの辛抱だから、ここで待っててね。さあ、それじゃ行こうか」
「は、はい……。でも……」
 あたしのためにここまでしてもらってもいいのだろうか。未来は不安そうな様子であった。
「大丈夫だよ、安心して。勇気くんは正義の味方だからさ。好きでこんなことやってるだけだから。
 そして、私は悪の女幹部、地獄のミャーコ! 同属として困っている猫を見過ごすなんてことはできないのニャ!
 ……ね、だから問題ないでしょ?」
 愛はにっこりと未来に微笑みかけた。未来もそのとき初めて、愛に対して笑顔を見せてくれた。なんだか馬鹿馬鹿しいけど、みんないい人なんだなって、そう思ったのだ。