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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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『 リレーの選手 』

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僕のクラスに、リレーの選手がいます。
彼は先頭を切って走るのが好きで、いつでもトップバッターを狙っています。

この間、僕はタイムで彼の記録を抜きましたが、トップは彼に決まっているので走らせてもらえないところでした。
すると、先生が2番手のゼッケンをくれたので、僕は運動会にリレーの選手として出ることになりました。
リレーの選手をやることに決まると、みんな「おめでとう」と言ってくれました。

放課後、毎日、校庭で僕たちはリレーの練習をしました。
話してみると、彼はいい人で、僕は少し安心しました。
足が速くなるために、毎朝、早く起きて公園を走っているそうです。

それから、少しすると、3番手を走るハセガワ君が「お腹が痛い」と言って、練習をさぼるようになりました。僕は心の中で、どうしてハセガワ君は弱いことばかり言うんだろうと思いました。トップバッターで走ったら、うちのお父さんもお母さんもお姉ちゃんも喜ぶのに、と僕は思うようになりました。


運動会の日、僕は紅組で、隣のクラスとかは白組でした。
いろいろ競技をした後、点数が表示されると、リレーに掛かっている状況になりました。

「よーい、どん!」
音楽が鳴っている中、僕は待つ場所に立って、足を前と後ろに出しました。
彼は練習の時のようにすごい速さで走っていて1番でコーナーを回ってきました。
バトンを受け取ろうとした時、僕はリードしすぎていたことに気が付きました。
振り返ると、バトンはさっきの場所に落ちていて、僕は大急ぎで戻ってバトンを拾って走りました。
もう4番になっていたけれど、前の人の背中に手が付きそうなくらいのところまで追いついて、僕はバトンを3番手に渡しました。
少し顔が冷たくなっていて、みんなのほうを見ると、彼はみんなに囲まれていました。たぶん、泣いていたんだと思います。

少しずつ差が縮まって、3位から2位になろうとする時、バトンはアンカーの手に渡されました。
僕は恥ずかしいのも忘れて、応援しました。
結局、僕たちのチームは3位でした。戻って来ると、彼は言いました。
「お前のせいで負けたんだ」

「せっかくハセガワ君が取り戻したのにね」と、クラスの女子が責めたけれど、ビリでなかったので良かったと思います。
でも、本当はアンカーはクラスで一番早い人がなるはずだから。
先生が、ハセガワ君をアンカーにしていたら良かったのに、と僕は思いました。
僕は、きっと彼があの時、アンカーになるために消えたのだと思います。

先生は、僕を責めませんでした。だけど、「練習の時より、緊張しちゃったのね」と笑って言いました。
リレーの選手は、今もきっとどこかで、走っていると思います。僕はたまにしか走らなくなりました。
あの時、バトンを落とさなかったらなぁ、と思うことはありますが、お父さんの話では「起きてしまったことは忘れなさい」ということです。

転校して2年になりますが、僕は、新しい学校にまだ慣れていないと思います。
でも、卒業するまで勉強しよう、と思って頑張っています。