『 とんだ目撃者 』
「でさー、これのさぁ」 あれ?
「ですから教科書の通り」 あれ?
ちょっと、二度あることは三度あるというけれど本当。
大変、どうしよう。もしかしてパラシュートで誰か飛び降りてない?
三回も見たんだけど私。
でも、こんな街中に現れるパラシュートなんてあるはずないし。
私ね、視力は良くてね、1.5なの。
目の錯覚とかあってはならなくてね、誰にも言ってなかったの。
いつでも誰でも見えてる筈なのに、いつでも誰でも何も言わない。
しかし見ざる聞かざる言わざるも当たり前の話で、安定剤が必要になる話だから。
その時、私は気が付いた。パラシュートの軌道が私の涙と同じことに。
窓枠の中を流れる私の涙。
・・・まぁね、自意識過剰な意見なんだけどね。
つまりね、涙の替わりのパラシュートでね、絶対それが本当だと困るから!
本当に、そういうの困るから!
私ね、お金とか無くてね、嘘ついてるって思われやすくて。
それに、安定剤とか買うお金と相談する人に困るから。
でも、ぶっ飛んだ意見ほど本当だという「事実は小説よりも奇なり」。
常に私より意見のほうが大きくて、とんだ迷惑者扱いされるだけだから。
何しろ、パラシュートがアピールしていて、報告しろしろ言っているだけだから。
ところでこの話、誰にも内緒にしてくれる?
携帯とかで飛ばさないでくれる?
あ、そうそう。言い忘れてたんだけど、そのサイズはこれ位なの。
飛ぶスピードはまさにパラシュート。問題はそれが早すぎるっていうことなんだけど。
だけど、本当にあれらしいよ。
~ 完 ~
作品名:『 とんだ目撃者 』 作家名:みゅーずりん仮名