私の星空
幼い頃の夜のこと
外食をした帰り道
父と母との間に入り
手と手を繋いで歩いてた
初めて歩く夜の道
飲食店の並んだ道は
明かりが多くて明るいけれど
昼間のそれとは違ってて
ドキドキしたのを憶えてる
だんだん家に近づくと
明かりが少なくなってきて
だんだん怖くなってきて
ゆっくり歩く両親を
急かしていたのを憶えてる
そうして家に着いたとき
空を見上げて父が言う
今日は星が綺麗だ と
視線を上げたその先が
明るかったのを憶えてる
暗い夜空のキャンバスに
描かれた星の絵画たち
星座は難しかったけど
小さな星の輝きに
感動したのを憶えてる
今は一人 ベランダで
空を眺めてみるけれど
あの頃よりも明るい街は
夜空の絵画を隠すように
強い光を放ってる
けれども瞼を閉じたなら
今でも鮮明に憶えてる
あのキャンバスが浮かんでく
私の中にある星は
褪せることなく煌々と