シャトルバス
そのころ日本にはまだ、送迎バスという概念が存在しなかった。バスといえば、質素な四角い車体の路線バスだった。スペースシャトル型の送迎バスは、そのキャッチーな外観と、新しい運行形態が話題となり、テレビや新聞の中で「シャトルバス」と略されて、センセーショナルに扱われた。
これらの報道により、シャトルバスは大ブームとなり、またたくまに全国へ普及していった。
日本中のホテル、観光地、公民館、デパート、結婚式場などで、スペースシャトル型のシャトルバスは、最寄りの駅と現地を結ぶ足となり、さらには、幼稚園まで園児を送り迎えするバスとして、または、動物園内を遊覧するバスとして、実にさまざまな場所で活躍するようになった。
その後、時代とともに、シャトルバスの外観は変化していった。
ホテルや公民館などの送迎用のシャトルバスは、車体に行き先をペイントした程度の普通のマイクロバスになった。幼稚園児を送り迎えするシャトルバスは、動物型の幼稚園バスとなった。動物園内を遊覧するシャトルバスは、シマウマ柄のサファリバスへ進化を遂げた。
スペースシャトル型のシャトルバスは激減し、やがて、鬼怒川温泉で運行される数台を残すのみとなった。
懐かしいスペースシャトル型のシャトルバスを求めて、鬼怒川温泉を訪れる観光客も多い。