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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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34―2 【火】

 【火】、見ての通り燃える火の形だ。
 この【火】、二つ重なれば、「炎」(ほのお)となり、
 三つ重なり、「  火
         火火 」(エン、ほのお)、

そして四つ重なり、「 火火
           火火 」(イツ、イチ)となる。

 火はどんどん燃え盛り、すべてを焼き尽くしてしまうという恐ろしい字だ。

 そして…… ♪ 肥後は火の国よ 恋の国 ♪
 坂本冬美さんは「火の国の女」を歌い上げる。

 この火の国は肥国(ひのくに)、現在の長崎/佐賀/熊本を含む広い地域だ。
 昔、不知火(しらぬひ)に導かれ、天皇が八代県(やつしろのあがた)に上陸した。そのことから、その一帯が「火の国」と名づけられたと『日本書紀』に書かれてある。。

 だが現在、火の国と言えば、阿蘇山を中心に熊本をイメージする。
 そんな火の国の女は猛婦と呼ばれた時期があり、頑固で情が熱い。
 お付き合いはかけひきや遊びではなく、本音本気でなければならないと言われている。

 ♪ 惚れた女(おなご)を 抱きたけりゃ
   火傷かくごで
   抱かんとね 抱かんとね ♪

 こう歌は続くが、火の国の女、【火】どころではない。

 まさに 「 火火
       火火 」 レベルなのだ。