漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
16―3 【滅】
【滅】、この字の右部は呪文を唱え、火を鎮める意味だとか。それに「さんずい」が付いて、水で火を消してしまうこと。
これから「すべてがほろびる」となるらしい。
そして【滅】は、多くの四字熟語をつくる。盛者必滅から始まり、滅私奉公などなど。
その中で最も耳にするのが――「支離滅裂」
この「支離滅裂」の語源、調べてみたら、これがまた支離滅裂で、結局は「ありません」と結論付けられていた。
それではその反義語は?
それは「理路整然」。少し違うような気もするが、この熟語を見て、「支離滅裂」からなにか抜け出せたようで……ホッ!
そんな【滅】、6500万年前に恐竜が【滅】びた。
原因は、小惑星が地球に衝突したから。
場所は、メキシコ・ユカタン半島のチチュルブ(Chicxulub)という所。数年前に、これは事実だったと確定した。
惑星の直径は10キロメートル。そして、衝突した時のスピードは秒速約22キロ。
衝突時のエネルギーは広島型原爆の約3億倍。
そして、これにより引き起こされた地震はマグニチュード11以上。津波の高さは約300メートルだったとか。
黒煙が地球を覆い、3年後には世界が氷点下になった。これで恐竜が絶滅した。
このような出来事は1億年に1回起こるそうな。
あの時から6500万年経ってしまった。だが、まだ3500万年も残ってるぞ、とは言っても、明日小惑星が落ちてきても可笑しくない。
もし落ちれば、盛者必滅も滅私奉公もあったものではない。
要は、茶も滅ぶほどの全滅で、「滅茶苦茶」となる。
さらに【滅】、もう一つ述べれば、こういうエッセイの展開を──支離【滅】裂というらしい。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊