ワォーリーを探せ!
敢えて呼ぶなら、人工無能?
しかしながら、可愛い私の子供たちである。
もう、20年以上昔のことになる。
私は、あるLOGOのプログラムのコンテストで大賞を頂いた。
そのときの作品が、これからご紹介する「ワォーリーを探せ!」である。
まず、LOGOについて説明するべきであろう。
LOGOの基本は、画面上のタートル(亀)にペンを持たせ、前に進ませたり、右に角度を変えたり、また前に進ませたり、更に角度を変えたり、……、ということを繰り返して、絵を描かせる、というものである。もちろん、もっと複雑なことも可能であるが、今は、そのくらいに、理解して頂ければ結構である。
さて、「ワォーリーを探せ!」であるが、そのタートルが、1画面上に同時に最大29匹登場する。そして、それらのタートルに同時に同じ1つの命令を下すと、彼らは一斉に「思い思いに」動くのである。
「思い思い」というのは、どういうことかというと、実は、これらの29匹のタートルのうち、常に必ず100%言われた通りの動きをする正直者はワォーリー君ただ1人きりなのである。
他はというと、例えば、ウィーリー君は、パラメーターを何でも90%に縮小して実行する。すなわち、10前に進めと言われれば、9しか進まず、90度右を向けと言われれば81度しか向きを変えない。
こういった面々の中から、正直者のワォーリー君を探し出すのである。
以下に、当時考えたタートルの一部の名前、どういうときにどういう動きをするのか、ご本人の一言をまとめる。
名前:ワォーリー君
性質:全ての命令を、そのまま実行する。唯一人の正直者。
一言:何なりとお申し付け下さい。
名前:ウィーリー君
性質:パラメーターを何でも90%に縮小して実行する。
一言:ちょっとくらい手ぇ抜いたって、分かりゃしねぇよ。
名前:ウェーリー君
性質:パラメーターを何でも110%に拡大して実行する。つまり、1割増し。
一言:いいってことよ。気にするねぇ。サービス、サービス。
名前:天邪鬼君
性質:パラメーターのすべてに-1をかける。これにより、前に進めと言われれば、後ろに下がり、右に曲がれと言われれば、左に曲がることになる。後出の支離滅裂君より、よっぽどコントロールしやすい。
一言:へんっ! 人の言うことなんか、聞いてられるかいっ!
名前:弾丸小僧君
性質:何を命令しても、前進する。その際、勝手に線を書くモードにしてしまうこと、多々あり。
一言:前進、前進! 前進あるのみ!
名前:支離滅裂君
性質:何を命令されたかに関係なく、乱数により行動を決定する。
一言:ガウルルルルルル。グルウウウゥゥゥゥウウウウウウウ。
名前:ジキル君
性質:タイマーの秒が00~29秒のときは、命令に忠実(ワォーリー君と同じ)だが、タイマーの秒が30~59秒のときは、ランダムに行動(支離滅裂君と同じ)する。
一言:やぁ、僕に任せておきたまえひひひひひぃぃぃぃぃぅぅぅぅうひは!
名前:ハイド君
性質:タイマーの秒が00~29秒のときは、ランダムに行動する(支離滅裂君と同じ)が、タイマーの秒が30~59秒のときは、命令に忠実に行動(ワォーリー君と同じ)する。
一言:うへへへへ、ひひゃははははは、はっ!? わ、私は何を?
名前:天地無用君
性質:タートルが、水平より上を向いているときは、命令に忠実(ワォーリー君と同じ)だが、タートルが、水平より下を向いてしまうと、ランダムに行動(支離滅裂君と同じ)する。
一言:お願い。逆さにしないで、逆さにしないで、うわーっ! きゅわーっ、はっはっはっはーーーーーっ!
名前:内弁慶君
性質:画面中央付近(座標にして、x,y座標とも±100以内の範囲)に、タートルがいるときは、大暴れ(支離滅裂君と同じ)するが、その範囲から出ると、とたんに、大人しくなる(ワォーリー君と同じ)。
一言:わーっ、はっはっはっはーっ、俺様に怖いものなんてねぇーぜ! ……、あれ? ここ、どこ?
名前:時間差君
性質:1つ目の命令だけは、命令通りに行動するが、2つ目からは、1つ前に命令されたことを実行する。
一言:ごめんなさ~い。私って、どうしても他人から、ワンテンポずれちゃうの。
名前:右曲がりのダンディ君
性質:前進の命令のときのみ、こっそり、右に2°方向を変えている。
一言:これが、男の美学だ。
名前:サタン君
性質:画面左端(座標にして、x座標-150以下の範囲)に、タートルがいるときは、大暴れ(支離滅裂君と同じ)するが、その範囲から出ると、とたんに、大人しくなる(ワォーリー君と同じ)。
一言:わーっ、はっはっはっはーっ、我はサタンなり! ……、あっ、やめて、左端から出さないで!
名前:イタコ君
性質:毎ターン、乱数で選ばれた他の誰かの人格が憑依する。(その人のアルゴリズムで動くだけ)
一言:はんばらふだらば、はんばらふだらば、……、こんなん出ました。
20年以上前のことで、何の資料も残っていないので、これ以上、思い出せそうにない。
しかし、記憶を想像で補った部分が誤っている可能性が多分にあるが、一応、このお話? はノンフィクションです。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。