なにもしていないようにみえる
しかし、その子供は重要なことを死ぬまでにやっているのだ。
「何もしてねー死んだだけだ・・・」
「そんなことない生きてる間になんかしてる」
重要なことをしていると思っている人々は言った。
「重要なことなどしていない、死んでしまった、かわいそうに」
特殊な人々も言った。
「重要なことなどしていない、死んでしまった、かわいそうに」
なんにもしていないようにみえる。
なんにもしていないようにみえる。
でも、あんたに会いに来たの去っていってる。
あんたに会いに来ることが重要なのさっていってる。
もしかして、会いに来ることは重要で特殊なのか?
俺にとっては重要でも特殊でもない自然なことだ。
ごく、自然なことが、ここでは重要なのか。
自然に生きるのが難しいのか。
生きて死ぬことすら自然じゃないの?
特殊なのだというのだ・・。
それは何に対してやっているのだろう・・・。
身近なものか・・・何に対してかはわからない・・・。
その子供は小さくして短い生涯を終えた。
だが、その短い間に何か重要なことをしていたような気がした。
か弱い子供だと、こちら側からはみえる・・・。
我々の知らない何かをしているかもしれない・・・。
生きて死ぬまでの間・・・。
我々の知らない何かが存在している。
生きて死ぬまでの間。
おしまい
作品名:なにもしていないようにみえる 作家名:ぽてすけ