①エッセイを書く - 大槻ケンヂにあこがれて
本というのは、どういう時に読んだだろう。少年の頃から、毎日とりつかれたように読んだ人もいるだろうし、はたまた退屈な通勤列車で読み始めたのがきっかけで虜になった人もいるだろう。もしかしたら本なんて一度も読んだことがないという人もいるだろうし、こういう時代そういう人も多いのかもしれない。
さて私はというと、本が好きというなんとなくの自覚だけは持っては来たものの、実際はろくに本など読まず音楽に打ち込んでいるバンド少年であった。流行りではとっくにないブルーハーツを聞きながら「ロックンロールは最高だぜ!」と疑いもなく思っている少年であった。そんなバカ丸出しのハナタレでも、活字を読むことはなぜか性に合っていて、どうでもいいような折込チラシから編集者が熱く語るだけの音楽雑誌、そういったものを起承転結の時には承から、時には転からといった有りサマで、なんの考えももたないまま読んでいたハナタレ少年であった。
彼が久々に、小説や文学の棚に置いてあるものを手に取ったのも、「よし、マジメになろう!」と思ったわけでもなく、「あんな青クサイもん聞いてられっかよ!」と思ったわけでもなく、あろうことかその”ロックンロール”がきっかけであった。ロックバンド・筋肉少女帯のボーカルでもある大槻ケンヂ氏の「リンダリンダラバーソール」(ダ・ヴィンチブックス)を手にとり、バンドブームのことを知ろうと思ったのだ。だが何が何のきっかけになるかはわからないものであり、以来私は氏のエッセイの虜になったのだ。
結果として、ハナタレ小僧のまま大槻ケンヂに憧れることとなり、「よし!筋肉少女帯みたいな音楽をやるんだ!」ではなく、「グミ・チョコレート・パインみたいな青春小説を書こう!」でもなく「エッセイを書こう!」と思ってしまったのが子岩少年である。今思うと、そこで真面目になっておけばまだ取り返しはついたのであるが・・・。だが現実、真面目ではない彼は氏の作品を読み、こんなことを考えていた。
「すごいぞこの作品・・・久々に感動した・・・」
そんなはずはない。作品を読み純粋に「感動」という感情を持つような人間ならば、パンクロックなど聞かないだろう。(偏見ですね)いや彼は14歳ブルーハーツ大好きロックバカである。クラスメイトにドキドキムラムラばかりしている14歳なのである。部活をサボって学校の裏の雑木林で時間を潰している少年なのである。(知らんがな)彼は氏の作品を読み、とある重大な発見をしたのだった・・・
「そうか・・・!もしボクが作家になれば・・・!あのCDもあの映画もあのライブも・・・経費で落ちるのか!」
果たして世の中がそんなに甘いモノだろうか子岩少年!?もっと効率のいい稼ぎ方でも在るだろう少年・・・。しかし14歳の脳ミソはそんなものである。・・・14歳は早速行動に移った。まず「インターネット」なるものに接続し、「アイディー」なるものを取得し、「ブログ」なるものにこう綴った。
「おはようございます。はじめまして子岩です。音楽が好きです。今日は学校でプールがありました。」
ってそれただの日記じゃん!?彼がそれに気付くのはだいぶ後になってからだった・・・。
ところで日記とエッセイってどう違うんでしょう。そんなこともまだよくわからないままお酒は飲めるようになりました。おはようございます。はじめまして子岩です。まだ音楽が好きです。エッセイってこんなかんじで書けばいいんですかね。何かを経費で落とすにはまだ時間がかかりそうです。「大槻ケンヂにあこがれて」こんな感じでやっていこうと思います。よろしくお願いします。
作品名:①エッセイを書く - 大槻ケンヂにあこがれて 作家名:子岩