左目町の子供イラズさん
その人は自分の子孫などいらないと思っていた。
子供が嫌いだったのかもしれない。
だから彼の子孫はいない。
彼は自分が死ぬのを待つだけだった。
伴侶もいない。
彼の後には誰もいない。
ほかの人は、子孫がいる。ほかの人の後には誰かいる。
あとを継ぐ者はいらないのだ。
彼の何かを継ぐ必要はないから。
継ぐのなら・・・ほかの人のなにかだと、彼は言っているのだ。
さようなら、左目町の子供イラズさん。
私はほかの人の技術を継ぎに行きます・・・。
あの伝統工芸の・・・。
おしまい
作品名:左目町の子供イラズさん 作家名:ぽてすけ