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キ・プリピア港にて

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寄港した先
キ・プリピアの街に降りて
街行く人びとの匂いを嗅ぎたいと思った
港の周辺には生鮮食品市場が多いのは
どこの星も一緒なのだろう
くすんだ赤い看板の下に人だかりができて
大きな生き物の死体を解体しているらしいのが見えた
腹をさき新鮮な内臓を取り出すと
人だかりの中から容器を差し出す手がいくつも現れ
解体士は均等に内臓を入れてゆく
少し離れたところでじゃりじゃりと
硬貨のやりとりする音が聴こえる
臓物のないからだの柔らかそうなところに
次々と刃を入れて
まるで機械を分解するように
決まった順番があるかのように
骨と身を選り分ける
骨のための容器が差し出される
身のための容器を持つ人々が我先にと争い始める
わたしにも
誰かにとっての最適な
食材となるときがきっとくるだろう
身を離され骨を洗われ
うつくしい生き物たちの
一晩だけの燃料になるだろうときが
作品名:キ・プリピア港にて 作家名:青炭 円