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理不尽な現実
理不尽な現実
novelistID. 52992
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この世とあの世、なぜあの世の方が忙しい⁉︎

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気がつくと夜のような暗い一本道に立っていた。
 なんでだ?
 おかしな夢だな。
 どーせ夢なんだしとりあえず歩こうと思う。
 立ってるのもヒマだし。
 早く覚めないだろうかなんてことを考えいると、上と下で別れている変わった別れ道の前に人がいることに気づいた。
 半分が黒、もう半分が白のタキシードを着ている可愛らしい同い年くらいの女の子だった。
 なんでタキシードの色が白と黒で半分に分かれてんだ?
 いや、その前に何故タキシード....?
 なんてくだらないことを考えていると女の子が口を開いた。
『久我響さんですか?』
 あら、ビックリなんで俺の名前しってるんだ?
 つーか、随分リアルな夢だな....。
『御愁傷様です。あなたは17年で生涯を終えました。』
『は?........はぁぁぁぁ‼︎?』
 え?
 ちょっと待ってよくわかんないんだけど、どーゆーこと⁉︎
 とりあえず夢から覚めるように頬を引っ張った。
 うん。
 普通に痛い。
『え?じゃあ俺本当に死んだの....?』
『はい。トラックに引かれてミンチになって死にました。』
 表現の仕方が生々しいのは置いておこう......。
『覚えてないのですか?』
『全く覚えてないです......。』
『では、死んだ事も覚えてないおバカさんの為にあなたが死ぬちょっと前から見てみましょう。』
 言葉の節々にトゲがあるのは気のせー
『気のせいではないですよ。あえてです。』
 先読みされた⁉︎
 てか、これ悪口なんじゃないのかな?
 女の子のポケットからライトみたいなものが出てきた。
 青い猫型ロボットが出すやつによくにていた。
 巨大化でもするのかな?
 なんて淡い期待をしていたが、すぐさま裏切られた。
 壁に向けてライトを向けると学ランを着てあくびをしながら歩いている自分が映っていた。
 あっこれ朝の俺だ。
 次の瞬間壁に写っている自分が急に走りだし。
 そして子供をかばい、引かれそうになった子供の変わりに居眠り運転をしていたトラックに引かれ、女の子の言った通り俺はミンチになっていた。
 おぇ......気持ち悪。
『って....!俺本当に死んでんじゃん‼︎』
 自分で自分にツッコミを入れてしまった。
『だからそういってるじゃないですか。』
『あー....死んじゃったのかー。まぁいっか!』
『見た目通りの軽さですね。』
 いや、だって後悔しても遅いし。
『残念ながら生前それなりに善良に生き、人を庇って死んだ為あなたは天国で暮らすことに決定しました。』
 残念とはどーゆーことなのかは聞かないでおこう。
『え?じゃあ俺これから天国で暮らすの?』
『はい。とりあえず詳しいことは天国に向かいながら説明します。』
『まず、死んだ魂は天国か地獄のどちらかに行く事になっています。生前に罪を犯せば犯すほど地獄で受ける罰が重くなります。』
『天国で罪を犯した場合も地獄に落ちるので注意して下さい。』
 などと、長い説明を聞いていると白い扉が見えてきた。
 天国の入り口の割りには小さくしょぼかった。
『到着しました。どうぞ開けて下さい。』
 俺は緊張と不安を胸に扉を開けるとーー
『へぇ⁉︎』
 そこにはどこにでもありそうな市役所?的な所だった。
 開ける扉を間違えたみたいだ。
『失礼しましたー。』
 扉を一旦閉めた。
『はぁー。』
『間違えたんならもっと早く言ってよー。こんな市役所もどきが天国だったら今すぐ詐欺容疑で訴えちゃうよ?』
『ならばこちらも弁護士を雇わなくてはいけませんね。さっきの市役所もどきが天国ですよ。』
 え?
 ちょっと待って。
 天国ってもっとフワフワしてて、まったりした所じゃないの?
 今見た光景的にはまったりの『ま』の字も感じられないんだけど......。
『とりあえず扉を開けて中へ入ってくれますか?』
 言われるがまま扉を開けるとやはりさっきの市役所もどきだった。
『ボーっとしてないで早く進んで下さい。飲み終わったペットボトルと同じくらい邪魔です。』
  『いや!それもうゴミじゃん‼︎』
『ゴミではありません。再利用できる大切な資源です。そうですね、訂正します。飲み終わったペットボトルより邪魔な響さん早く進んで下さい。』
『俺の扱いってペットボトル以下なの⁉︎』
 この人絶対人の事いじめて喜ぶタイプの人だ......。
『そーいえば、名前なんていうんですか?』
『名前などありません。私はただ死者を案内するだけの案内人です。』
『えっと......なんというか....。』
 この人も色々大変なんだな........。
『冗談です。名前は月宮雫といいます。』
『冗談が重いし、わかりづらいよ‼︎』
『とりあえず、この紙に記入して下さい。』
 渡された紙は住民登録?のような紙だった。
『これを記入すればいいの?』
『はい。これを記入したら響さんも天国で暮らすことができます。』
 書く事は氏名と性別、生年月日と死んだ日時を書くだけの簡単なものだった。
『終わったよ。』
『では、私はこれを天知事に出してきますので少し待っていて下さい。』
 天知事?
 県知事みたいなもんか。
 天国って結構適当なんだな。
『戻りました。響さんの住む所が決まりました。案内するのでここで待っていて下さい。』
『わかりました。』
 住む所を案内するだけなのになんで待つんだ?
 ここからだと遠いから、ハイテクな乗り物でも借りてくるのかな⁉︎
 なんだろーな。案外雲に乗ってくとかベタなやつだったりして!
『やー。待った?』
 え?
 待って。
 誰......?
『えーと....誰ですか?』
『失礼だなー。雫だよ。さっきまで一緒にいたでしょ!』
『え?........えぇぇぇぇ⁉︎』
 自分が死んだことよりビックリすることがここにありました。
『変わり過ぎでしょ!この数分間で何があったの⁉︎』
『仕事のスイッチをOFFにしただけだよ。そんなに違う?』
 うわー。
 自覚ないんだー。
『雰囲気から格好まで全部さっきと違うじゃないですか!』
 さっきまでの仕事モードの雫さんは、タキシードで髪を結んでいてメガネをかけていて、いかにも仕事のできる女って感じだったのに、今の雫さんはジャージにサンダル、メガネもかけてないし髪も結んでいない。
 ONとOFFの差があり過ぎだよ......。
 実は二重人格なのか......?
『まぁそんなことは置いといて、とりあえず響くんの住む所に行こーか!』