夜明けの前に。
雨(あま)って名前の人…
雨は夜にしか会えないの、だから夜明けの前に会うしかない
雨を思うと胸がきゅんと高鳴って、心の曇りが晴れる。
でも雨は境のむこうにいるの。
境っていうのは、国境とかそういうもの。
雨は自分から連絡をくれないし、とても冷たい人。
でも、私が何か困っている時はすぐに助けてくれるの。
とても温かくて実は陽だまりのような人
夜しか会えなくて、境のむこうにいて自分からは連絡をくれない。
けど、雨にとても惹かれるの
毎日、毎日、赤い糸がきゅっって引っ張るよう…
境のむこうまで行けない。 無力な自分。
愛おしさは大きいのに、それと比例するかのように忙しさは募るばかり。
いつかまた再び雨に会えるだろうか
雨、貴方以上に好きな人はいないの。
雨の優しいとこ凄く好き。
いつか会いたい
目から涙が出る。 しょっぱくてまずい…
雨会いたいよ…
「花(はな)、」
その時、雨の呼ぶ声がした。
戸の方を見上げると、視界が暗くなった。
「花、久しぶり。」
透き通るとても綺麗な声、低くて甘い声。
「あ、ま… 」
目を塞いでいた手を雨は解いた。
気づいたときには、雨に引き寄せられていた…
雨と花の距離は0cm。