サッカー <再会>
「約束だぞ、シュン!」
「うん、約束しよう、トシ!」
「俺たちでチームを一番にしよう!」
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ_
やかましい目覚まし時計の音が、俺の眠りを妨げる。
俺の名前はトシアキ。齋藤トシアキだ。俺は今日から中学生になる。
え?どこの中学校だって?ただのフツーの中学校だ。だが、サッカー部は強いらしい。
「バカトシ~早くしないと遅れるよ~、つか置いてくよ~」
「うっせー死ね、アホハル!」
すまない。今のが双子の妹の齋藤ハルカだ。名前はおとなしそうなのに、現実ではおとなしくもなんとも無い。つーかウザい。
「イッテキマース。」
「行ってらっしゃい、気をつけてね。」
「はいはい、わかってますよ。」
こんな他愛も無い会話が、最近はイライラする。何なんだ?この気持ち。
「バーカートーシーくーん」
カチンッ
「うっせー!!!アホはr・・・」
俺は息を飲んだ。
第2章 入学
俺は息を飲んだ。
目の前にいるのは、ここにはいないはずの、いや、居てはいけないはずのかつての仲間が居るのだから。
「・・・シュン・・・」
「どーした?トシ?ナンカ俺の顔についてっか?」
そう。そこに居たのは、もうしゃべれないはずのシュン、立原シュンスケの姿があったのだから。
「なんでここに居る・・・シュン」
「はぁ?意味わかんねぇよ、なぁ、ハル?」
「何いってんのか全然分かんないんですけど。」
「まぁそれより、早く行こうぜ、遅刻すんぞ~。」
どういうことだ、なぜシュンが・・・そのことで頭がいっぱいになり、入学式に集中できなかった。憧れていた、一中なのに・・・
なんだかんだいって、下校時間になった。
「おい、トシ。生きてっか~。」
そのとき、シュンがしゃべりかけてきた。
「なぁトシ、この後、おまえん家、よってってもいいか?」
「・・・・・」
「だってさ、がっこーで大量に宿題出されただろ?」
「・・・・・」
「あのクソブタやるよな~」
「・・・・・」
「あっクソブタっつーのは、豚崎先生のことだよ。」
「・・・・・」
「まっお前は真面目すぎるから、豚崎のことをクソブタって言えないよな。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
いつの間にか、長い沈黙になっていた。何とか話を続けようと、今度は俺が話しをする。
「すっすまん、考え事してた・・・」
「そうだよな・・・」
「えっ?」
「いきなり戻ってきて、また仲良くしようぜ、なんて、話がよすぎるよな・・・」
「ちっ違う!そういうつもりじゃ・・・」
「ごめんな・・・・・・・」
そう言った矢先、シュンはダッシュで家へと向かってしまった・・・
続く