ひといき
人の時間の流れは、とても速すぎて
私には到底ついて行けそうにない。
それでも生きなければいけないから
それでも守らなければいけないから
人は頑張るのだろうけど。
深呼吸、深呼吸、
1日に何回したか分からないため息。
深呼吸、深呼吸、
1日に何回すったか分からない煙草。
心は鉛のように重くなって、
もう、どうでもいいやって、
全部から逃げたくなって、
それでも逃げることができなくて、
辛くて、苦しくて、悲しくて…
そんな時、
私は人生を放棄します。
きっと1分か2分か…それ位だけど、
もっと短いかもしれないけど、
時間を止めて、目を閉じる。
一面金色に染まった田んぼ。
朝露がきらきらと輝いている。
道端咲く小さなすみれ草。
空には鳥が飛んでいる。
目を閉じて思い浮かべるのは
そんな景色、あの日見た景色。
目を開ければ変わりない毎日だけど、
少し、ふわりと軽くなる。
私はたまに人生を放棄します。
放棄しながら生きています。
作品名:ひといき 作家名:Little-bee