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彼は かえりたいと思った
家に居るのに かえりたいと言った
何故だろうかと思った
判らないが 彼は かえりたいと言った

彼女は それを見ていた


彼は 海へ行った
全ては海から生まれたと聞いた
だから彼は 海へ行った
あと少し歩けば 海だと聞いた

彼女は ただ待っていた


彼は海を見た
それだけで何もしなかった
何もせずに海を見た
判らないが海には入らなかった

彼女は　それを信じていた


彼は家へ帰った
海に背を向けて帰った
何の未練も迷いもなく家へ帰った
彼は　彼の場所に帰った

彼女は　「お帰りなさい」と微笑んだ