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皆見 さつき
皆見 さつき
novelistID. 51872
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瑠璃色の夏休み

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大事な記憶




「父さま、また夏のお話をして」
「またか。何度も聴いているのだからもういいだろう」
「父さま、おねがい」
「仕方がない……今回が最後だぞ」
 毎度こうしてせがまれて、唯一の夏休みの思い出を語る。後にも、そしてこの先の長い一生にも、夏休みというものはあれのみだろう。何度話しても懐かしさは消えてなくならない。
 まだ、少年だった頃の、大事な夏の思い出だった。
「あれはまだ私が少年だった頃のことだ。すべては、かぐや姫から始まった」
 もうずっと昔の話になってしまった。
 夏は遠い。

作品名:瑠璃色の夏休み 作家名:皆見 さつき