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ぶれない文字歩き

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『セヌマンディー』(港町)



 もしこれを読んでいるあなたが、白人や名誉白人である日本人であったなら、小説『愛憎渦巻く世界にて』への旅に出かけることができます。
 中世ヨーロッパ風のこの世界に住む人々は、ほとんどが白人で、ヒロインでさえ有色人種を恐れている始末です。あなたが日本人だった場合、町中を歩いているときに、底辺っぽい白人から、「イエロージャップ!」とか言われるかもしれませんが、名誉白人らしく黙っていましょう。反論すると、ヘイトスピーチだと騒がれます。


 それはともかくとして、セヌマンディーという港町は、ムチュー王国にあります。この国1番の港であるこの町は、有名な観光地でもあります。国中から多くの人々(小金持ち以上に限る)が、羽を伸ばしに訪れます。
 町には石畳が敷いてあり、馬車のひづめの音を鳴らせます。日本の石畳とは踏み心地がなんか違います。喧騒とともに、異国情緒を感じ取れるでしょう。
 ただし、いつまでもぼんやりと酔いしれていてはいけません。この時代の白人は、し尿を窓から放り捨てていたからです。あなたが特殊な趣味をお持ちでないのでしたら、頭上に気をつけましょう。 もちろん、上だけでなく下や横にも気をつけてください。この時代には社会保障など皆無に等しいので、子供から老人までの貧民が、あなたの財布を狙っています。雑巾のような服を着ている連中がそうです。
 周囲への警戒を怠ることなく、観光を楽しみましょう。

 この町1番の観光名所は、岬にそびえたつ大灯台です。大昔に築かれたとされるこのクソでかい灯台は、遠くの海へも光を届けます。船乗りたちは、自分たちの命を守る光を照らしてくれるこの大灯台を大切に思っています。
 内部の見学には、事前予約が必要です。ただ、出入口にいる非正規雇用の係員に銀貨1枚でも握らせれば、予約は不要になります。

 前もって準備をしてこなくても、食事や宿の手配に困ることはありません。あてもなく、飯時や夜に町中を歩いていると、勧誘が現れ、雇い主のところまで案内してくれます。
 もしあなたが高級そうな身なりをしていた場合、料金をぼられます。まあ、全身ユニクロだったとしても、多少はぼられてしまいますけどね。
 工業が発達していないので、生水はたぶん安全です。ただし、しょせん井戸水なので、ボルヴィックやヴィッテルやエビアンよりかはまずいです。念のために言っておきますが、コンビニはどこにもありません。

 宿屋の汚いベッドで眠ることなく、夜の町を歩いていると、あちこちに娼婦が突っ立っているのを見かけることができるでしょう。街娼というやつですが、ぶっちゃけブスしかいません。前歯が無い女もいます。
 儲けを出せるほどの美女なら、自宅兼仕事場を持っているか、娼館に所属しています。しかも、こちらのほうが安全です。
 あなたが作者同様、恋人無しの童貞ならば、娼館へ行くことをオススメします。いきなり娼婦の家に訪問できるほどの勇気を持っているのでしたら、話は別ですが。まあ、そんな勇気があるなら、とっくに恋人がいるでしょう……。

作品名:ぶれない文字歩き 作家名:やまさん