ぶれない文字歩き
『中京都』(都市)
ここは、『758号世界』の首都である『中京都』。『CROSS』の主役たちが本拠地としている場所で知られています。かつては愛知県と呼ばれていましたが、首都の移転により、名称が変更されました。
お近くの世界からは、異次元航空機で現地の空港まで、3時間17分で到着します。少々不安定な世界なので、保険への加入をオススメします。いわゆる自己責任というやつです。便利な言葉ですね。
空港に到着するとすぐに、銃を持った兵士たちが出迎えてくれます。彼らは、中京都を守る使命を帯びた『中京都軍』の兵士たちです。
中京都軍の兵士たちは、CROSSがコントロールしやすいよう、未熟な少年少女たちで構成されています。
そのため、あなたがた観光客の中から、「若僧のクセに生意気だ!」と、年齢だけは立派な老人が口を滑らせるかもしれません。もしあなたが、現地ではよくある「交通事故」に遭いたくないのでしたら、その老人とは距離を保ちましょう。
空港周辺は、あまり見どころが無いクソ田舎なので、都心のほうへ向かいましょう。中京都の中心地は、尾張地域にある名古屋です。そこまでは、バスか電車です。
……え? 三河地域にも行ってみたい? あそこは、工場と畑しかないつまらない地域ですよ? ……まあ、止めはしませんが。
さて、中京都の中心地である名古屋に着きました。この街には、排他的で堅物な名古屋人が多く住んでいます。
その次に多く住んでいるのは、出稼ぎ労働者どもです。名古屋人が『ヨソモノ』と呼ぶ存在です。彼らは、主人である名古屋人に尽くしていますが、あなたがた観光客に対しては、日頃のうっぷんをぶつけてくるかもしれません。「暮らしぶりはどうですか?」などと声をかけないようにしましょう。
先ほど、ここは少々不安定な世界だと言いましたが、中京都内の治安は良好です。ポカポカ陽気の昼過ぎには、歩道にイスを置いて座っているヒマそうな警察官を見かけることができます。
……これはもしもの話ですが、あなたがCROSSにとって不都合な人物であった場合やなった場合、死にもの狂いで追いかけられることになるでしょう。あなたを追いかけるのは中京都軍や地元警察だけでなく、秘密警察の『世界保安省』やCROSSの残留隊員たちもです。地元警察を除き、彼らは普通に発砲してきます。「威嚇射撃なんて弾の無駄」という感覚です。
運よく死なずに拘束されたとしても、「うっかりミスによる事故死」に遭わないよう気をつけましょう。弁護士はまずつかないと考えてください。ついたとしても、やる気と実績の無い暇そうな奴しかつきません。
そして、これはどこの世界でも同じことかもしれませんが、公平な裁判が待っていると期待してはいけません。「疑わしきは罰する」がまかり通っています。