私の心に生まれたモノ
いつだったか もう思い出せません
私はそれまで ずっと
“与えられる側”の人間でした
手を引かれて歩いていた幼い頃から
ずっと ずっと
与えられることが当たり前だと
錯覚していた気がします
そんな私にも大切な人ができました
とてもかけがえのない人です
家族や友達の“好き”という次元とは
ちょっぴり違うかもしれません
ただ その人のことが
とても大切だと 強く思ったんです
初めてその人と会ったときに
私の耳元で神様が
そっと 囁いたような気がしました
「この人に与えなさい」と。
それからなぜか私は逆に
“与えること”を考えませんでした
ただ その人と一緒にいて
のんびりと時を刻んでいました
この感情はなんて言うんでしょうか。
今まで触れたことがない
感じたことがない感情
私の心に生まれました
私は初めて その人のために
何かしてあげたいと思いました
その人の「ありがとう」を
聞いて生きていきたいと思いました
私も時が許してくれる限り
“ありがとう”を贈りたいと思いました
これはきっと何十年後に
私とその人の命が終わっても
永遠に変わらない感情なのでしょう
これが初めて私の心に生まれたモノ。
私が“与える側”に生まれた瞬間でした
作品名：私の心に生まれたモノ 作家名：秋月 陽斗