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宝の地図

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辰 大学



 私が松下先生から出された宿題はこうだ。
   ・ 自分の家系について調べること
   ・ 蔵と金庫はそれぞれいつからあったのか

の二点だ。大学の図書館に資料があるかもって言ったけど、先生も夏期試験で忙しいのでちょっと待って欲しいって言うから、私が直接大学で調べてみたいって先生に言ってみたら交渉してくれて、特別にOKが出た。
 私は授業が終わると一目散に自転車で坂の上にある大学の正門まで行った。

「おう、早かったね」
Tシャツにジーンズ、サンダル履きの至って普段着の先生が携帯電話をいじりながら待っていた。
「自転車、大変だっただろ?」
「部活の練習よりは全然マシです」
私は吹き出す汗をタオルで拭きながら強がって見せた。この時期制服がすぐに汗だくになって困る。大学生は楽な服装で羨ましい。
「さ、暑いだろうから早く図書館に入ろう」
 私は先生に案内されて大学の図書館の中に入った。大学生の中に一人だけ中学生の私がいる。場違いな所にいることに少し緊張したけど、クラスメートに見つかることはまず無いし、クーラーが効いてて涼しいのと大学の自由な雰囲気が次第に気持ちよくなってきた。
「先生はいつも図書館で勉強してるの?」
「してる……と言いたいけど、本当は下宿が暑いからここにいるだけなんだ。涼しいでしょ、図書館って」
 私は笑いながら図書館にいる人を観察した。先生の言うことは冗談半分だとわかっていたけど、半分以上の学生がただ涼みに来ているだけのように見えなくもなかった。
「何かわかったかい?」
「おじいちゃんとお墓参りに行ったり、色々聞いてきたよ」
 私はそう言いながら、自分の「研究ノート」をテーブルの上に広げた。

作品名:宝の地図 作家名:八馬八朔