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宝の地図

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申 城跡



 宝の地図はこの町で間違いない事がわかった。次の問題は

   文丗日ノ日沒 川ノホトリノA

と書かれた地図の裏の文だ。私たちは今その文の通りに地図にあるバツ印の所へ向かっている。今日がその七月三〇日、日没に何があるのだろう。
 百年前、その印の場所には山があって、乙濱城という小さなお城があったそうだ。今では酉岡と呼ばれた山も小高い丘となり、乙城記念公園と呼ばれる大きな野球場や体育館がある。しかしお城の跡地と聞くと何かがありそうな気がする。それだけに私の期待は膨らんできた――。
「先生はここにどんなお城があったか知ってるの?」
「うーん」私の質問に先生は首をひねった「実はよく知らないんだ」
「えー、そうなの?」
「無理もない、先生が生まれた時には既に公園になってたんじゃろ」
「今じゃ跡形もないからね。僕にしたらあそこは球場だな。でも石碑くらいは立ってるんじゃないかな?」
「ふーん……」
 目的地まで、私の頭の中で期待はずれ半分と、逆に誰も知られていない穴場かもしれない半分とが勝手な論争を繰り返していた。

作品名:宝の地図 作家名:八馬八朔