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宝の地図

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午 乙浜市



 蔵の中で見つけたご先祖様の手紙。私はそれを『宝の地図』と言っているのだが、調査の結果高祖母にあたるキノヱ婆さんの出身地である乙浜市のものである可能性が高いことがわかった。
 私の住む甲山市から乙浜市までは車で二時間、電車で行けばもっとかかるのは私の家庭教師をしている松下先生が教えてくれた。先生は乙浜市の出身で甲山市に下宿している大学生で、私の調査に協力してくれる強力な存在だ。もしこの地図から本当に宝が見つかったら、先生が言う「灼熱の部屋」にクーラーをつけてあげたいな。
 この調査にはおじいちゃんも力になってくれるようになった。地図の持ち主であるキノヱ婆さんと直接会った事のある重要人物だ。原付の免許しかない先生とちがって車の運転が出来るのも頼もしい。
 こうして結成された「でこぼこ調査隊」は、おじいちゃんの軽四で夏期試験も無事に終了した先生を実家に送ってあげるという名目で乙浜市に行くことになった。お母さんにはおじいちゃんが説得してた。今日は部活も休みだから一日中調査が出来る。
 七月三〇日早朝、蝉の鳴き声のうるさい甲山を出発。今日はちょうど地図の裏にある『文丗日』だ。

作品名:宝の地図 作家名:八馬八朔