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ヤマト航海日誌

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2016.2.21 第十九話違法視聴所



性犯罪者の再犯率は90パーセント以上とか。さらに残りの9パーセントもただ捕まってないだけで、どこかでやることやっている。彼らに「それ、違法です。」と言うのは息をするなと言うのと同じで、まったく無意味なのだと言える。

テレビ番組を勝手にアップロードする者に「それは違法。」と言うのもまた無駄だろう。彼らはやらずにいられないからやるのだろう。おれだって、これをやらずにいられないからこれをやっているのだから、法律なんか知ることじゃない。

男には、たとえ敗けるとわかっていても戦わなければならないときがあるという。世界がテロと苦しい戦いをしているときに、日本人だけエロと楽しい戦いをしている。ソレイホ刑事は「(見てるやつを)取り締まれって言いてえんだろ」と言ってはいけない本音を漏らし、問題が著作権とはなんの関係もないことを露呈させてしまっている。

国にとってどうでもいい犯罪はどうでもいい犯罪だ。エロ同人誌を作って売るのはどうでもいい犯罪だから、警察がそれを取り締まることはなく、出渕裕はどんなに悪いことをしても罪に問われたりしない。ゆえに常勝の戦いを続ける。古代が「てーっ」と叫ぶたびにガミラス艦がどれだけ爆発したとしてもそれは画だけのことに過ぎず、虚しい勝利なのだけれども、それでも『あしたのジョー』よりも、今夜の萌えアニメがいい。だって、勝って終わるじゃないか。画がキレイでいいじゃないか。どうして『2199』があるのに、オリジナルの『ヤマト』なんか、それもリマスタリングされたものならともかく、古いビデオの画質なんかで見なきゃならんのさ。

まして第19話『母の涙は我が涙』――なんなの、それ。どういう話? ブツ切りでそれだけ見ろってどういうことよ。反重力感応器とか、オクトパス星団だとか、バラノドンにビーメラ星人。途中にあるのは変な話ばかりなんでしょ。出渕裕がそう言ってるよ。

それに比べて、どうだい。『2199』の、イングラムでケンプファーな超カッコいいメカの数々。ストーリーも目もくらむ展開で、次の瞬間何が起こるかまるで予測不能ときたよ。毎回毎回、「えーっ、なんでそうなるの? この話どうなっちゃうんだろう?」と思わされっぱなし! で、最後にズガガガガンてことが起きて、〈ヤマト〉が危機を切り抜けるのさ! けれど沖田は最初から全部お見通しだったんだぜ!


「オリジナルの第19話は、そういう話とは違う」

「じゃ、ダメだ。別にそんなの見たくない」


そう言われておしまいかもな。それがこの平成の世の価値観ていうもんなのかもな。まあね。わかるよ。おれが昔に小説書いて編集者に読んでもらったときにもやっぱりそんな返事を食らったよ。講談社に〈メフィスト賞〉ってのがあってさ、前にチラッと書いたけれども、『絶対外れる馬券術』をおもしろいと一応評してくれたのもそれさ。あんなのどうせ嘘だと思っていたろうけど、調べりゃほんととわからなくもないことだぜ。

西暦2000ジャスト年頃のあの雑誌のバックナンバーを見ればいい――と言っても簡単じゃないだろうが、もし確かめることができたら、そこで〈アパチュア・アンド・シャッタースピードの人〉と呼ばれてるのがおれだと思ってくれ。どんな新人賞に出しても通りそうもないもの書いて、しょうがなく送ってみたら選考で取り上げてくれたんだけどね。なんだか君が好きそうな別のやつと比べられてそっちが本になっちまったよ。どうせ紙の本よりもこういう方がおれの性に合ってる気がしなくないといま考えているんだが……。

しかしなんだね。こんなことを書いて出しちゃいるけれど、おれ自身はネットの投稿画像なんか違法だろうと合法だろうとまったく見ない人間だ。と言ってもそんなのどうせ見る価値ないだろと思うから見ないだけであって、良識があるからでもなんでもない……だからやっぱり見るやつの頭がいちばん悪いんじゃないか、という気がしなくもないのだけれど、こう言ったら少しはバカな連中も考えを変えるのと違いますかね、ええ、ソレイホ刑事さん。

けれども、うーん、オリジナルの第19話……「そんなのどうせつまらないだろう」と言って済ますと損するものが他にけっこうあるかもなあ。

おれの小説もジンとラムを半々に、グレナデン・シロップとレモン汁を加えてシェイクするところまできたわけだが、〈スタンレー〉といえばニューギニア。ニューギニアといえば『天才バカボン』だ。

読んだなあ、昔。『バカボン』の中に、目ん玉つながりのおまわりさんが警察をクビになる話がある。制服を取り上げられると下着しか持ってないのだが、その下着さえバカボンパパにビリビリに破かれてしまう。ハダカの彼にパパは一本の竹竿を渡し、これを服の代わりにせよと言うのであった。そして曰く、



 「ニューギニアの○○は、○○○○に筒を付けているのだ」



これがヤバイんだよなあ。あのマンガ、今でも読めるのかな。○○っていうのはたぶん、今では絶対使っちゃいけないワードだと思うんだ。○○○○も非常にまずい。だからおれもここに書くことはしないんだけど、それ以上に画がねえ。あれは、この平成の世では決して描いて出してはいけない画だと思うな。うん。ジンとラムとをほとんどただ混ぜただけのカクテルみたいに危険な画だよ。あれはね。

しかし、別にいいじゃねえかよなあ。○○を○○と言って何が悪いんだよ。ほんとのことだろうがよ。人はみんなハダカで生まれてくるもんなんだよ。男には○○○○が付いてんだよ。

それをなんでえ、『それ、差別です。』『それ、猥褻です。』って、いちいち巻紙広げやがって。カムラン・ブルームみてえな野郎が偉くてカッコいいもんと思い込んでるんじゃねえよバーロー。

そういうのを『文明の毒に脳が侵されてる』っていうんだコンチクショーめが。こんな話をシラフで言う人間が信用できる人間ですかってえことをおれは言いたいわけなんですよ酒だ酒だーい。

酒を飲んでも飲まれるな、とはよく言ったもんでして、人は一歩間違うと草薙剛みたいになって警察に捕まり家宅捜索を受けてしまったりするのである。怖いねえ。皆さんも気をつけましょうね。

警察といえば昭和は良かった。マンガに出てくる警官はあの〈目ん玉つながり〉に、『がきデカ』の少年警察官こまわり君。『こち亀』の両さんだって昭和の頃の方が今よりおもしろかったぞ。皆さんほんとに、今の上辺(うわべ)ばっかりリアルな『パトレイバーDNK』が、平成の価値観に合っているから良いとお考えですか。マジメにカネを払って見る価値があると思うわけなの。ふうん。

どうかな。やっぱ昔の、今ではマジメ人間ギャートルズどもが許さない○○で○○○で○○○○なやつをネットで探してみる方が……。

おもしろいかもしれないなあ。〈ニューギニアの○○〉の画は、〈ザ・コクピット〉の『爆裂弾道交差点』でまだ見ることができるはずだ。しかしあれさえ、そのうちに、ギャートルズに目をつけられて「これ、有害です。」と言われて封印されてしまうかもしれない。そうして誰も、あの作品の中にある大切なものを知ることさえできなくなる。
作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之