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ヤマト航海日誌

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ソーセージがタコやカニの形してるって、そんなにうれしいもんですか。それもおれにはよくわからんが……。『今だ出すんだブレストファイヤー!』。〈ライダーキック〉も〈科学忍法火の鳥〉も、「今だ」と言って出されるのは最後に敵がもうヨレヨレでなんの抵抗もできないときだね。出渕裕も山崎貴も、昭和のそんな番組をまだ小さなテレビの前に座り込んで見ていた世代だ。それも、中学生にもなって。

〈敵は前半強いけど、主人公がドラマを通して成長すると弱くなる〉という構造を疑問を持たず受け入れて骨の髄まで染み込ませてる。やつらが作る『ヤマト』を見るとそれがほんとによくわかるよな。昭和三十年代生まれは、血液がカツオダシがベースどころか、カレー汁で出来てんじゃねえのか。

茹で過ぎスパのナポリタンにタコカニウインナがきっとご馳走だったんだろうな……。『今だ出すんだロケットアンカー!』。けれどもあれは古代がGで苦悶の顔をするところまで『ガッチャマン』の〈火の鳥〉まんま。苦しいようでも実はラクラク、敵が〈ヤマト〉に抗う力をもはや完全に失くしているから余裕で出せただけやないかい。

おれ達昭和四十年代生まれは、十歳を過ぎる頃には教室で言っていたものだった。『主人公が精神的に成長すると敵が物理的に弱くなる。そんなバカな話があるか。だいたいあいつのどこが成長してるって言うんだ。より幼稚になってるようにしか見えない』って。


「ううむおのれい、後から来たのに言わせておけばよくもよくも。もはやこれまで。ええい出あえいロケットアンカー!」


なんのこれしき、このワタシには通じませんぞ。この光圀を抵抗できない老いぼれと思うな。浣腸、もとい、艦長代理古代進よ。ひとつ人の世の生き血をすすり、ふたつ不埒な悪行三昧、みっつ醜い浮き世の鬼よ。バンダイ屋と結託しての数々の非道、この眼でしかと見届けましたぞ。抱き枕カバーと添い寝シーツで種の存続がかなうと思うか。助さん格さん、あなた達の出番です。さあ懲らしめてやりなさい!

というわけで、もしやどなたか出渕裕に会う機会がありましたら、おれの代わりに浣腸してやってください。



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之