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女子外人寮

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破った約束


工場の3階は2年生研修生と3年生研修生が住んでいた。
ある日、点検して気が付いた。大半の櫓炬燵の電気のコードが切り替えスイッチ付近で断線しそうな状態だった。捩れたり机の脚に踏まれたりして、細い銅線数本で僅かに繋がって過熱したコードも有った。既に断線して使用不能な炬燵もあった。

俺は寮に住んでいる2年生と3年生で、日本語が解るのを探し、直してやるって伝えた。コードを買い替えるか、スイッチ付近で切断し再度繋げば簡単だと思った。
俺は火災の危険が有るから、そんなに経費はかからないから、直したいと社長に言った。社長は「良いだろう」と言って修理許可をくれた。

ところが事件が、その2日後に起きた。
一年生研修生は出社したが、2年生と3年生が出社しないのだ。工場の真上にいる彼らは、会社側とあることで揉め、ストライキをしたのだ。
先輩研修生が出てこないと、後輩は何もできない。グループ作業は分業で、難しい縫製は一年生では出来ないのだ。したがって一年生は出てきても、彼らだけでは仕事にならなかった。

事の発端はこうだった。グループに分けられた作業班は全部で4グループあった。そのうち目標ノルマが時間内に達成できないグループは、残業をやらせて貰えない制度を社長が決めてしまったのだ。

女達の詳しい給料は知らないが、1年生以外は残業をして稼いでいた。その残業がやらせて貰えない日があるようになったのだ。いわゆるノルマ未達成の罰だった。
彼女らの主張はノルマ達成率に関係なく、平等に残業をしたいとの要求だった。

社長は一年生の前で、出社しない2.3年生に激怒した。
そして次の日が、俺が炬燵のコードを直す約束の日だった。
俺は「コードを直すので予算を1万円程下さい」って社長に頼んだ。

「あんな連中に修理はいらん」と社長は頭ごなしに俺を睨みつけ言った。

俺は中国人に期待させるウソを言った事になった。
コードの修理は出来ない事になってしまった。
ショートして火事になる可能性もあるのに。
俺は(どういう社長だ。火事になったら破滅するのに)って思った。





作品名:女子外人寮 作家名:桜田桂馬