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つだみつぐ
つだみつぐ
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農薬の話

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 アレルギーなど既知の機序では説明できない患者が「存在する可能性は否定できない」!中枢神経系(免疫系ではなく)からの研究の他に「心因学説に立脚」した研究!!ごくおおざっぱに翻訳しよう。「そういう患者もいるかもしれないが、(体の問題でなく)心の問題かもしれませんね。」
 これが日本アレルギー協会理事長を座長とし、東大以下そうそうたるメンバー(北里大学を含む)の研究会の結論である。「微量化学物質暴露による非アレルギー性の過敏状態としてのMCSに関しては、発症メカニズムをはじめ、科学的には未解明な点が多いのが現状であり、様々な研究領域からの多角的なアプローチによるMCSの病態解明や治療法及び予防法の確立のための研究の更なる推進が必要である。」はいはい(こんなの誰でも書けるぞ!!)。
 要するに「わかりません」これが医学界主流の態度なのだ。MCS否定派はたくさんいて、例えば各種掲示板などではMCS肯定派に対する侮蔑の言葉もたくさん見受けられる。
 なぜ「わからない」かというと、「既知の機序(仕組み・メカニズム)では説明できない」からである。ホルムアルデヒドに暴露された人がなぜ電磁波に対しても過敏になるのか、一緒に暮らしていて発病する人としない人がいるのはなぜか、通常の毒性の数千分の一の濃度で激しい症状が出るのはなぜか。
 肯定派の人が「バスタブのモデル」で説明したりする。バスタブにたくさんの蛇口からさまざまな「水」が流れ込み、ある時あふれ出す。それがMCSの発症である、発症するかしないか、いつ発症するかは流れ込む水の総量や人によって異なるバスタブの大きさで決まる。しかし、誰にでも起こりうることなのだ。
 バスタブの蛇口にはホルムアルデヒド・トルエン・有機リンなどの他に「ストレス」まである。これらが同じように「溜まる」か?どこに溜まるのか?
 少なくともこのモデルは説得的ではない。症状が進むと反応する化学物質が広範囲に及ぶことなどは全然説明できない。

 でも患者は実在する。そこが出発点だ。一説では全国で70万人。

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家族が持ち込んだ香水で、ショック状態を引き起こす。悪寒、嘔吐、強烈な手足の痛み、痺れ、沈みこむような目まい、意識障害となる。
病院で点滴中、その点滴にてショック状態となる。
脳神経科に搬送されるが異常は認められない。
全身麻痺で、言語障害もあり、寝たきりとなる。
新しい病院内の空気は入院に耐えられず、空気清浄機を持ち込むが難しい。治療法もないので退院を通知され、(中略・別の病院で)担当医は病名もつかないし、治療法もないのは知っていて、何をしてもらいたいのだと言った。 私に何が起きているのかを知りたいと思って受診したのに、くる所が違うのではないですか、 精神科に行った方が良いのでは・・・とまで断言され、腹立たしいし悔しい気持ちでいっぱいになった。
家族も怒りを抑えるのに必死だった。
http://tennenseikatu.fc2web.com/

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換気扇からもれてきたカビ取り洗剤のような臭い、ガソリンスタンドのガソリンの臭いで、体が自分の意思では動けなくなってしまい、意識が遠のいていく感じ。何も考えられず、生気を失っていく感じがした。
http://mayum7.blog20.fc2.com/

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最初に書いたようにこの病気(MCS)について調べ始めたばかりの私に、専門家の間でこれほど見解が分かれているのに確かなことが言えるはずもない。今から書くことは不確かな推論であり、中間的で未熟な考察に過ぎない。
 MCSがある物質の摂取に起因することはまずアレルギーとの類似を思い起こさせる。例えば小麦アレルギーは何らかの原因によって小麦に対して人体の免疫系が過剰に反応することである。小麦自体の毒性によるものではない(と思う)。ただ、相違点もある。小麦アレルギーが米アレルギーや卵アレルギーへとどんどん広がることはないし、「減感作療法」というものが存在する。つまり、ゆっくり体を慣らしていく、ということだ。MCSでは減感作療法は成り立たない。どんどん微量で発症するようになってしまう。
 症状の激しさはアナフィラキシーショックを思い起こさせる。よく耳にする、「蜂に最初に刺されたときは大丈夫だったが、2度目に指されたときに死んだ」という例はMCSに似ている。MCSはどんどん閾値が低くなっていくのだ。アナフィラキシーショックはMCSと違って作用機序はかなり解明されてきているが、「ほかの人は何ともないのになぜあの人だけが」という肝心な点は未解明である。
 そうなのだ。MCSは作用機序も未解明だが同じ環境で暮らす家族の中で激しい症状の人とまったく発症しない人がいることが大きな謎だ。体質の問題か、どのような体質なのか。
 研究者によれば、MCSは(アレルギーと違って)免疫系の病気ではない。神経系の病気である。実際に眼球の動きなどから何らかの中枢神経の障害が推測されている。MCS患者に見られる記憶喪失・不安・自殺願望などの精神症状もそこから説明可能なのかもしれない。同時にこうした精神症状は心因説の根拠にもなっている。しかし研究が進んで実際の脳機能の障害がはっきりすれば心因説は退けられると考えられる。
 私達を震撼させた地下鉄サリン事件。被害者はさまざまな神経症状と精神症状を訴えている。一部はPTSDであるかもしれないが多くはサリン自体の毒性に起因すると私は思う。
 少し前に「サリンは高い揮発性を持った有機リン剤である」と書物で知って私は愕然とした。
 そして最近の研究は、比較的安全な農薬として今や農薬の80%を占め、農薬以外にもさまざまな場面で使われている有機リン剤が実はさまざまな症状を引き起こしていることを明らかにしている。身体症状の他に神経症状・精神症状(痴呆や統合失調症を含む!)までも。下記サイトから、自身も農薬の空中散布により慢性有機リン中毒になった青山美子医師の言葉を引用する。
http://tabemono.info/report/former/12.html

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有機リンの慢性中毒は、リソホスホリパーゼ(NTE)という酵素に直接ダメージを与えて引き起こされることがわかりました。この酵素の働きが侵されると、狭心症や心筋梗塞の原因になったり、記憶障害や子どもの多動障害の原因になることも指摘されました。
そのほか、さまざまな酵素の働きを阻害して、人間の心身に悪影響を及ぼすこともわかってきています。
特に重要なのは、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)の阻害です。
この酵素が有機リンに侵されると、記憶を失ったり、食欲がなくなったり、うつに陥ったり、睡眠障害になることが、最近の研究で明らかになってきています。
作品名:農薬の話 作家名:つだみつぐ