若さとは苦しむ権利である。
自分の思い通りにいく青春時代が、どうして燃え盛るような朱夏時代を迎えることができるのだろうか。否、できない。
苦しめ、若者よ。それが君たちの権利である。君たちは苦しみ耐え抜く潜在的な力がある。
苦しみぬいて、悲しみぬいて、そうして見えてくる光は細く、今にも消えそうだ。だが君たちには見える。その光の奥の輝きを。
人生は4つに分けられる。
青春、朱夏、白秋、玄冬。
青春時代に暑さを耐え抜き、踏みにじられながら、泣きながら、罵倒され続けたものだけが、玄い冬を越すことができる。
夢など叶わぬ。目標にしろ。夢なら眠れば見られるものであろう。なら確実にその目標に行き着くために道筋をたて、その道を踏み外すな。必死に努力しろ。お前はまだ弱い。若い。使えないのだ。黙って努力し、自分の未来を切り開け。
君は国から守られている。平和ボケした人民はその平和が当たり前だと勘違いする。そこで伸び伸びやりたいことをやっている。仕事もせず、電子の画面を常に見つめて、何を見る。遊びほうけて、欧米人の真似ばかりで、君たちは見世物小屋のなまけもの以下であろう。馬鹿みたいに弦楽器でも弾いていろ。そして狂ったように打楽器を使っていろ。
働く意欲もないくせに、夢を語るな、愚図どもよ。
いい加減気付くのだ。
この生ぬるい世の中に。俺たちは、この現実という夢物語の一員だ。からくりだ。人形だ。
親からは期待され、この世はいいものだと教えられ、実際はどうだ。真逆じゃないか。お前の夢は現実的か否か。はっきりと見定めよ。
立ち上がれ、若者よ。
君たちを愛しているのだ。
作品名:若さとは苦しむ権利である。 作家名:荒岸来歩