私の主を紹介します
「お、おう」
「どこへ行かれるつもりですか」
「じょ、城下」
「なりません!」
「やめろおおおおおおおおおおお」
こんにちは。
私片倉小十郎の姉、喜多と申します。どうぞよしなに。先ほどは私の主、伊達政宗様が失礼いたしました。
本当に何度注意しても全く懲りないのですから・・・・・政宗様の耳は飾りなのでしょうか。
「お、喜多じゃねえか。何を書いてるんだ?」
「ちょっくらワープロで日報なんかをね」
「時代考証!」
「いちいち気にしなさんな政宗様!ほら、ビール飲めよ!」
「俺泣きそう」
文語体だと私の文章はとても美しいと師範からのお墨付きなんですの、ほほほ
「酔った勢いで師範に殴りかかって手に入れた免許だけどな」
「だまらっしゃい」
と、少しばかり失態を晒してしまいまして、大変申し訳ない次第でございます。
「喜多お前さあ、紙に何か書いて会話したほうが上品なんじゃねえの?」
「だまらっしゃい」
私の主は先ほども申しましたように、青葉城城主伊達藤次郎政宗様にござりますれば。
このお方がなんとも癖のある御仁で・・・・・
おかげで平成になってからやれスペイン人だっただのやれ男色家だっただの・・・・・情けないったらありゃしない!
「喜多、素、素」
「あら、私としたことが情けのうございますな」
「逆になってるから」
「そのように小さなことを気にしていては立派な城主になれませぬぞ!」
「もう俺城主なんだけど」
とまあ、このように真小さきお方が我らの主にござります。
「時に政宗様、」
「なんだよ、いきなり」
「執務のほうは終わってるのかい?」
「な、何で今それを聞くんだよ」
「あなた様の後ろに、鬼の形相をした我が弟が立ってますからねえ」
「げ」
「政宗様!」
「い・・・・いつからここに?」
「『お、喜多じゃねえか。何を書いてるんだ?』からです、政宗様」
「要するに最初からってことじゃねえか!」
「さあ、政宗様」
「後ろの小十郎に気付かないとは・・・あんたもまだまだだね、政宗様」
「ちっくしょおおおおおおおおおおお!!」
こんな感じですが我らが主。
伊達家が天下日ノ本にその名を轟かせることになるのは果てさていつになることやら。
それではこれにて御免。