僕の梅雨はまだ明けない
君がそう言ったのは六月の初めだった。梅雨が始まったばかり。あの太陽は姿を隠し、そこにあるのは雨だった。あんなに晴れていた春の日は嘘だったかのように雨がふっていた。
君は最新作の映画があまり気に入らなかったみたいで、終始怒っていたのだが、僕はそんな君が愛おしくて、笑っていたら怒られてしまった。
そんな君に指輪を渡したら、何も言わずに泣いていた。あまりにも泣くものだから、僕は不安になって、僕も泣いてしまった。いつもの公園で、ふたりで泣いている僕たちは、まるで六月の空のように、おかしかった。
もう六月も終わりだ。空は晴れていて、部屋から見るその太陽は姿を現し、日差しは強く僕らを照らしていた。
「ごめんね。」
彼女の言葉はとても重く僕の中に残っている。
さぁはやく、一緒に海に行こ?
7月2日 愛する君へ
その太陽に照らされて、海はあまりにも綺麗すぎた。
作品名:僕の梅雨はまだ明けない 作家名:荒岸来歩