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暗躍甲冑の後味
暗躍甲冑の後味
novelistID. 51811
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死滅回遊魚の鳩尾

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嘘以外、事実以外

テレビを付けると、丁度ニュースで誰かが三億円当てた旨が報道されていた。
きっともうじき福沢諭吉の雨が降ってくるのだろう。拾い集めるために人を集めておかなければ。
次のニュースでは二十代の男性が絞殺された、とのことだった。
ああ、どうしてそんな下らないことを言うのだろう。思わず溜め息を漏らす。
まだ血が流れないだけいいのかもしれないが、死体を埋めるこっちの身にもなってほしい。
新しいニュースはそのくらいのようで画面は砂嵐に切り替わる。
テレビを消すと私は重い腰を上げ、福沢諭吉回収のために外に出た。
ドアを開けると目の前をひらひらと長方形の紙が舞っていた。
「思っていたより早いな」
足元に落ちている紙を拾い上げ、太陽に透かしてみる。一応透かしはある。
元より偽物が降ってくるなど有り得ないのだが。
私が言わずとも皆で拾ってくれていたらしい。目の前に積まれたお札の山は皆で均等に山分けした。
次は死体探しだ。あまり気乗りしないが放っておくと腐敗して大変なことになる。
ここんとこはデフォルメして欲しいものだ。死に顔やら、血やら、傷口やら。

ああ、早くしないと狼がやってきてしまうな。
ずっと昔にある少年が狼を呼んでから狼は大体この時間帯に徘徊するようになってしまった。
こっちとしてはいい迷惑だ。

死体は森の入り口付近に転がっていた。
森の中でなくて良かったと安堵した。
埋葬が終わる頃には日も暮れ始め、私は手伝ってくれた仲間にお礼を言い帰路につく。
途中で買った木苺のジャムを塗ったパンと温めたミルクを夕飯にした。
早々に片付けてベッドに入ると睡魔が襲ってくる。
明日はどんなニュースが流れるのか、出来れば我々に有益なものが望ましいのだが、大抵は無益を通り越して迷惑を被るものだ。
その中でも4月2日は一番酷い。
去年は隣の家が火事になった。そのすぐ後の土砂降りで消火されて大事にはならなかったが。
そういえばいつぞやは彗星が来て極端に酸素が薄くなった時期があったな。
普通に生活出来るまで1ヶ月はかかったか。ああいうことはあれっきりにして欲しいものだ。
あれやこれやと考えているうちに私の意識は深い眠りに落ちていった。