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Again you

息をする。
目を閉じる。
息を止める。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
冷たい。
風が頬を切る。
ギリギリのライン。
息を吐く。
ずっと。
ずっと。
ずっと。
息を吸う。
冷たい空気を体中に満たす。
ギリギリのライン。
越える。
目を開ける。
青い。
気持ちいい。
揺れる。
光。
泡が吸い寄せられていく。
僕は。
行けない。
行かない。
光。
揺れる。
「地上で生きるものが水中で生きていけないのは、水中は魚達の家だからよ。」
声。
君の声。
懐かしい。
もう随分聞いていない。
懐かしい。
「呼吸に必要なものは同じなのに。」
息を吐く。
泡。
泡。
あんなに吸い込んだのに。
足りない。
もう、足りない。
まだ、君に辿り着かない証拠。
光。
遠い。

君は。
帰って来ない。
帰って来なかった。
君は。
人魚になった。
そう、人魚になった。
だから。
帰って来れない。
あそこはもう家じゃない。
あそこじゃ呼吸出来ない。
生きていけない。
此処で僕を待ってる。
だから。
僕も。
捨てよう。
故郷。
惜しくはない。
元々あそこは二番目だ。
「さよなら。」

魚は泡を吐けない。
吐かない。
僕は泡を。
吐いて。
吐いて。
吐ききって。
よくやく。
人魚になった。
「お帰りなさい。」
君が笑っていた。
「ただいま。」