削除不能
「画面が切り替わったんだろうと思うが、そちらのことは、よく覚えていない。それよりも、その瞬間に、展開されたもう1つの小ウィンドウが、衝撃を与えた」
「どんなものだったんだ?」
「ぃゃ、落ち着いて見れば、それほどのものではないんだ。全体的には、こじんまりした正方形に近いウィンドウで、画面右に、スクール水着で変なポーズをとっている女の縦長の写真。画面左上には、大きく72時間がカウントダウンを始めている時計。画面左下には、何やら私にあてがわれたというIDコード。画面右下には、本登録に進むためにクリックするボタン。その他の部分には、ご大層な文句がびっしり書き込まれている。曰く、この画面は、お客様がご自分の意思でご登録なさったものです。曰く、まだ、契約は完了していません。しかし、一番厄介なのは、画面下4分の1ほどの高さにある赤いボタンだ」
「なんでだ?」
「『削除できない場合はご連絡ください』と書いてある」