[百合系女子攻略本]
同性愛者。
それは、世間で可笑しいと思われる者。
でも、俺が好きになった女の子はその可笑しいと思われる者だった。
「一ノ瀬 海」
「はい」
俺は四ヶ月前に此処、都立森宮高校に入学したばかりの高校一年生だ。
此処は、一学年五クラスある。
俺は2ｰE。
一ノ瀬なんて名字だからって、出席番号3番なんてあまり嬉しくもない。
発表なんかじゃ、いつも最初の方だ。
「橘 由」
「はい」
この橘という女子はとんでもない。
同性愛者だ。
俺は本当にいるんだなんて感心したが、皆は気持ち悪がってるようだった。
別に好きになる人なんて人それぞれだし、橘はいい奴だし、いい気もする。
しかし、もっとやばいのは俺。
そんな橘にここ二ヶ月程、片想いをしている。
きっと友達に言ったら、変な目で見られるだろうから、これは秘密。
橘は、成績優秀で容姿端麗。
同性愛者ではなければ好きになってたなんて言う男子は多い。
まぁ、俺なんかが告白しても無理なんだろうな。
「由!!」
「何？」
「あのさ、今日一緒に帰らない？」
「いいよ?」
「よっしゃ、じゃあ帰りに！」
今、橘に話しかけた奴は1ｰBの柏木 玲。
橘の親友。
...と橘の好きな人。多分。
噂によると、柏木も同性愛者だったと思う。
イコール俺の恋敵。
柏木は勉強より運動タイプ。
身長はでかいし、そこまでモテないけど...
作品名：[百合系女子攻略本] 作家名：るーた