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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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D.C.IIISS ~ダ・カーポIIISS~

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Before da capo:encount 出会い



 ……結局寝られないわけだが、もうこの際仕方ない。
 えーっと、俺達が出会ったのはいつだっけか。……いや、考える必要もないな。俺達が出会ったのは昨年、現在の予科二年の入学式のときだ。その時俺は生徒会長をしていたのでカレンとの出会いに関してはよく覚えている。俺は生徒会長を引き受けたと同時に当時の予科一年Bクラスを受け持った。
 ちなみに現在の生徒会長であるシャルルもBクラスを持っているが、単なる偶然で予科Bクラスを受け持った生徒が生徒会長になるなんてジンクスは存在しない。……はずだ。
 入学式のときはよく覚えている。みんな緊張していて、この歳ながらに初々しさを感じてしまったのもあったのだが。
 えっ、俺が何歳かだって?……俺もよく覚えていないのだが、250は越えているはずだ。あれっ、俺何年に生まれたんだっけ……?
 とにかくだ。
 毎年恒例のクラス発表のとき。勿論俺は生徒会長であったので講堂で挨拶をさせられたりした。まったく、誰だ俺を生徒会長に選んだのは……。……そんなのエリーに決まっているだろう。なんたって生徒会長を選ぶのはエリーの一存なのだから。俺は忙しいんだよ。エリーも俺になりふり構わず仕事を振るんじゃねぇ!
 ……っと、話が逸れてしまった。
「次、カレン・アルペジスタ」
「はい」
 壇上の生徒会役員が彼女を呼んだ。カレンは返事をし、すぐに壇上へ上がった。
「君はBクラスだ。精進したまえ」
「はい」
 カレンは俗に言う『三種の神器』を受け取ると、クラスマスターとなる俺を一瞥して元の席へと帰って行った。それが、彼女とのファーストコンタクトだった。……といっても、その時カレンは俺の事なんか意にも留めてなかったらしい。俺もだけど。
 入学式が終わると、すぐに各クラスでのオリエンテーションが始まる。そのため俺は欠伸を殺しながらクラスへと向かった。
「ユーリさん、今年は生徒会長でクラスマスターなのですから制服もきっちりと着てしゃんとしてください」
 俺を嵌めた鬼、もといエリーだ。ちなみに式の途中はちゃんと着ていた。崩したのは終わってからだ。
「分かってるよ。……てか、誰が俺を会長に選出したのか分かってんのかよ。俺はやる気なんてサラサラなかったっての」
「仕方ないじゃないですか。貴方の年は貴方しか生徒会役員がいないのですから」
 そうだ。そういえば俺の他に同じ学年の役員はいない。
言われて気づいたのだが、先程壇上でクラスの発表をしていたのは巴だった。
「……なんで俺以外の当選者を無しにしたのか理由を聞きたいのだが」
 俺はジト目で聞いてやった。
「私は役員には立候補してもらいたかったの。推薦でやるような人じゃ仕事は勤まらないわ」
「俺の事はエリー自ら推薦しといてそれ言えんのかよ」
「あら、私の立場を忘れたかしら。もっとも、職権乱用をするつもりなんてなかったけどね」
 エリーは舌を出していたずらっぽく答えた。いや、俺だってこいつがここイギリスの女王だなんて信じたくなかった。……仕事の関係上仕方ないんだけどな。
 いや、それより。
「エリー、歳を考えろ歳を」
「ユーリさんしー!!」
 エリーは人差し指を口の前に持ってきて黙れを表すジェスチャーをした。知っていると思うが、若く見えるエリーも割と生きている。てかしぶとい。
 リッカや俺には劣るかもしれんが、高位の魔法使いである。俺も使う魔法の特性上、たまに敵わない時があるし……。
「それじゃ、頑張ってくださいね」
 そういってエリーは去って行った。どうやら俺はクラスに着いていたようだ。
 中が少しざわついている。大体自己紹介でもしているのだろう。
「……よし」
 心を決めた俺は扉に手を掛け、一気に開いた。
「静かにしろー、ホームルーム始めるぞー」
 少し伸びをして教壇に立った。
「一応出欠を取るぞ。呼ばれたら返事しろ」
 俺は一人一人名前を呼んでいった。クラスには名簿と同じ数きっちりいて一安心だ。
「……よし。まずは自己紹介でもしておくか。俺はユーリ・スタヴフィード。見ての通りBクラスのマスターだ。これから二年間よろしくな」
 少しクラス内がざわつく。当然だろう。なぜカテゴリー5がこんなところで学生などやっているのか。そんな疑問が大半を占めているはずだ。
「……まあ、ここでこんな事してるのは色々わけがあるからでな。気にしないでくれ」
 と言っても気にするだろうな。それが人間の性だ。
 というわけで話を転換させる。
「さて、今度は君達に自己紹介をしてもらおう。既に個人でやってしまったかもしれんが、俺はまだ顔と名前が合致しないのでな。よろしく頼む」
 俺はオーディエンスに向かって促す。まあ通過儀礼ということもあり、すんなりと受け入れてくれたみたいだ。
「じゃあ、そこの端から順に」
 俺は窓側の席を指差しお願いした。数分ほど掛けて自己紹介は終わった。ふむ、大体名前と顔は一致したかな。
 そして俺は次のステップへと歩を進めた。
「そんじゃあ、これから一応の概要について説明して行く。なにか質問があったらその都度挙手してくれ」
 オリエンテーションでやれと言われていた事はきちんとこなさないといけない。なので俺はひとつひとつきちんと説明していった。
「最後に、来週辺りにクラス対抗戦があるからな。グニルックの練習をしておくように。まあ、一応授業の一部を練習に当てるから気は抜いていいぞ」
 クラス対抗戦、女王からの依頼については先に説明したので割愛。クラス内は少しざわついていたが、大丈夫だろう。いや、ずさんとかそういう意味じゃなくて。俺が負けるわけにはいかんのだよ。だからみっちり特訓させてやるから安心しろと言う意味でだ。
 勿論そんなこと誰一人として伝わっているはずなかった。……ただ一人を除いて。
「……負けられない理由はわかりますけど、余り無理はさせないでくださいね」
 そんな声が俺の耳を貫いた。
「あれ、口に出てたか?」
 思うより先に口走っていた。
「いえ、私にだけ聞こえただけです。気にしないでください」
「君は、カレンだっけ。……まあ、聞こえたのなら仕方ない」
 俺はクラス内に向けて叫んだ。
「今度のクラス戦、俺の意地を掛けて負けるわけにはいかないのでそのつもりでよろしく」
 それが、カレンと俺が交わした最初の言葉だった。
 ……ちなみにあとで別のクラスのマスターたちに宣戦布告と受け取られたのは別の話だ。



   ◆   ◆   ◆



 結果を先に言おうか。クラス対抗戦は優勝した。圧勝だった。……というわけではないが。正直、予科一年で入学したてなのに延長戦までこなすことになるなんて誰が予想しただろうか。
「あっ、ユーリさん!」
 閉会式が終わり閑散とする会場を眺めなら物思いに耽っているとどこからか声がした。声のする方へ顔を向けると、そこには一人の少女がいた。陽ノ本葵という少女だ。名前から察するに日本人の様だが、どうやら親戚の元を辿ってこの地まで来たらしい。おそらくこの会場で売り子のアルバイトでもやっていたのだろう。
「なんだ、葵か」
「お疲れ様です!見事優勝ですね!」
「ああ。サンキュー」