おもむろにDシリーズ2
おそろい。
彼は嬉しそうに笑った。
耐え難そうに瞳を揺らした彼女を知ってか知らずか
彼はふにゃふにゃ笑って、その小さな頭を撫でる。
先ほど、彼から渡されたのは彼女の首にかけられているものと
よく似た赤い皮のブレスレット。
お揃いだそうだ。
彼とこんな風につきあって日が浅いとはいわない。
それでもよく分からない行動があるのは確かだ。
俺は何だか居心地が悪くて、下を向きながら
伸びてきた髪の先をいじった。
「今日も美人だね。」
今時、誰も吐かないような科白を語りかけながら
軽くその柔らかな毛並みに口付ける様子を横目に見た。
チリン、と首につけた鈴がなった。
作品名:おもむろにDシリーズ2 作家名:はづき