おもむろにDシリーズ1
ご主人はぐしゃぐしゃと髪を掻き上げながら何かに取り憑かれたような顔で
白紙のプリントたちに訳の分からない数式を書き並べていく。
時々短い悲鳴のような声をあげて、自分の世界の理解たちと競争中。
私をそれをいつも通り何をするというわけではなく、悠々と瞳に映すのです。
かりかりと鳴りやまないペンの音と比例してなくなっていく白。
彼の表情はそれはそれは楽しそうで全くもって私には理解不能である。
また、それでいて彼が数学者でも科学者でもないということが余計に不思議でならない。
懐疑であるとか虚栄であるとか、自由だとか、生命だとか
そんなものを研究してるというのはひどくおかしいことではないでしょうか。
私はそんな当たり前のことをまた考えながら
うっとりと静かに眠ることにしたのです。
作品名:おもむろにDシリーズ1 作家名:はづき