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夢と少女と旅日記 第6話-1

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 12/5/19

 ネルさんが話してくれた計画の実行のため、今朝は普段よりも早起きをしましたわ。コーヒーを啜りながらニュースを眺めていたら、レガール総務部長がドリームバスターズの結成を宣言していましたわね。
 どうやら昨日、ギルドに集まっていた方々のことらしいですけれど、わざわざかっこつけた言い方をする意味が分かりませんでしたわ。金目当ての連中の士気向上にはならないでしょうし。
「こんなくだらないニュースなんかどうでもいいぜ。それより、そろそろ出かけたほうがいいんじゃないか?」とルビーさんに促され、わたくしはコーヒーを飲み干し、ネルさんとの待ち合わせ場所へと行きましたわ。
 ネルさんはわたくしに気が付くと、「あ、ローラさん。こっちです、こっち」と物陰から手を振りましたわ。
「おはようございます。ちょっと狭いところですけど、ごめんなさい。できる限り目立たない方がいいと思いますので」
「おはようございますわ。……むしろ堂々としていた方が怪しまれずに済むのではありません?」と、わたくしたちが隠れた場所はハンターギルドの本部とその隣の建物の隙間ですわ。
「あはは、どうせすぐにバレますしね。でも、こっそり隠れていた方がなんかかっこよくないですか? スパイみたいな感じで」
「ネルさん、遊びじゃないんですから真面目にやってください」とエメラルドさんが突っ込みましたけれど、わたくしはネルさんは気を張り詰めすぎないようにわざとふざけてくれたのかもしれないと思いましたわ。
「さて、待ってる間、暇ですし、改めて今日の計画について確認しておきましょうか。今回の肝となるのはずばりお金です!」
 ネルさんは右手の人差し指を立て、「えっへん」とでも言いたげな顔を致しましたわ。
「昨日は言いそびれましたけれど、わたくし、こう見えてあまり貯金はありませんわよ?」
「お金の工面は私の方でなんとかします。まあ、私もあまり当てがあるわけではありませんけど……」
 ネルさんは思案する様子でありながらも、何か考えがあるような雰囲気でしたわ。……と考えるのは信頼し過ぎかもしれませんけれど。
「まあ当面は私の貯金でなんとかなるので、とりあえずお金の話は置いておきましょう。問題はお金で買収されてくれる人がいるかどうかですが……」
「そのあたりは問題ないでしょうね。彼らは元々お金目当てで集まった連中ですもの。『お金をやるから情報をよこせ』と言えば、素直に従うでしょうね」
 そう、これがわたくしたちの計画ですわ。ギルドの連中をお金で買収し、エターナルドリーマーの情報を得るのですわ。
 彼らにとっては情報を渡すだけで儲けが出るのですから、願ったり叶ったりでしょう。そして、わたくしたちにも夢の世界へ入れるチャンスが生まれるという寸法ですわ。
「あ、そう言えば、今朝のニュースは観ましたか?」と軽い世間話をするかのようにネルさんがわたくしに訊ねましたわ。
「ええ、なんでもドリームバスターズとかいう――」
「ああ、いえ、そのあとの話です。そのあと、『ギルドから発行された証明書を持たない者は信用しないように』って世間に呼びかけてたんですよ、あいつ」
「あら、そうでしたの。くだらないと思って観るのを途中でやめてしまったのですけれど、最後まで観るべきでしたわね」
「しかし、そうなると、その証明書とやらも情報と一緒に貰わなきゃいけないわけだな」
「まあ、それだけの話です。証明書に本人の顔写真なんかが載ってるかもしれませんが、それくらい偽造できますし、これもなんとかなると思われます」
「あ、それと、今日もドリームバスターズに加わりたい人を募集してるんだって、ニュースで言ってました。そろそろ説明会の時間なので誰か来るんじゃないかと――」
 エメラルドさんが口を挟んだところで、本当に誰かがやってきましたわ。しかし、それは大人にしては酷く小さい人影でしたわ。近くには青い妖精もいましたわ。
「子供ですね。これはひょっとすると、お金の心配はしなくても済むかもしれません」
 言うやいなや、ネルさんはその子に近づいていきましたわ。少し思案してからにしようと思っていたわたくしは出遅れてしまいましたけれど、その背中をすぐに追いかけることにしましたわ。