土と少女
土と少女の物語
湖を囲む壁の様な
金を墜とした樹の下で
土の入った小瓶を握り
少女は一人座ってる
少女の小瓶のその土は
こまかな こまかな 黒い土
土の入った小瓶を持って
少女は静かに立ち上がる
湖の周りに垂らす様に
少女は土を零してく
尽きることなく零れる土は
風にぱらぱら舞っていく
砂塵の様に舞い散る土が
辺りを黒く塗った頃
最後の土はぱらぱらと
湖の中に流れてく
少女が小さく回ったら
少女の背には砂塵でできた
小さな羽がぱらぱらと
少女は小瓶のふたを開け
中身を零して飛んでった
夜空に砂塵がぱらぱらと