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アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【040】

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  【040】



――教育棟……通称:本館 2F『生徒会ルーム』


 王立中央魔法アカデミー(セントラル)の学生たちが勉学に励む建物の二階部分は、全フロア『生徒会のためのエリア』となっている。

 地球の感覚では考えられないほど、この世界(アナザーワールド)の……この国での『学生』らの社会的地位は高い。理由は、この国での『学生』とは、将来、国のために戦う『軍人』という構図があるからだ。『地球』…………とりわけ『日本』に住んでいた俺からすれば…………『平和が当たり前という平凡な日常』を送っていた俺からすれば、その感覚はどうしてもついていけない部分がある。

 とまあ、そんな社会的地位の高い『学生』たちにはたくさんの国費が使われており、そのひとつがこの『王立中央魔法アカデミー(セントラル)』や、その他の地区にもある『学校(アカデミー)』だったりするのだが、そんな学生の中でも、さらに『特別視』されているのが、この『生徒会』となるらしい(マルコ談)。

 そして、その『生徒会』を束ね統率している、いわば、この『王立中央魔法アカデミー(セントラル)の学生の中のトップ』と言っても過言ではないだろうその人が『生徒会長』……『風属性の名門貴族』である『ヴィクトリア・クライフィールド』である。

 そんな『学生の中のトップ』……『生徒会長』らが、自分たちを探しているこの状況は何なのか? ということを直接聞きに行こうとなり、今、こうして『本館2F』の入口に俺たち三人は立っていた。


「つ、着いちゃったね……」


 アイリが珍しく緊張した面持ちでいらっしゃる…………それだけの人物ってことなのか?

 まあ、寮で見ただけではあるが、アイリのその反応もわからなくもない。しかし……、

「何よ、アイリ、そんなにこの生徒会長が怖いの? らしくないわよっ!」

 と、何も知らないシーナがアイリに発破をかける。

…………無知とは怖いですな。

 シーナは、アイリに発破をかけた後、俺たちの前を歩き、『生徒会室』へと向かい歩き出した。すると、ちょうど、その途中の通路を曲がったところで死角から出てきた人とシーナが軽くぶつかった。

「あいたっ!? す、すみません……」
「す、すまない……大丈夫か?」

 と、シーナとその「ぶつかった相手」が同時に謝った。

「「あっ……」」

 俺とアイリが二人を見て、そんな声を上げた。

「?……何っ?」

 シーナは俺とアイリに向かって尋ねる。すると……、

「か、会長っ! 大丈夫ですか? お怪我は?」

 と、その「ぶつかった相手」の後ろにいた学生から声をかけられていた。

「か、会長……?! ま、まさか……?!」

 シーナもその声に反応し、俺とアイリの反応を理解する。

 170センチの隼人よりも『長身』で、背中まである長い『エメラルドグリーンの髪』…………シーナが「ぶつかった相手」、それは、「王立中央魔法アカデミー(セントラル)生徒会長 ヴィクトリア・クライフィールド」その人だった。


「このくらいのことで騒ぐなっ! こんなもの大したことではない。それよりも……お前、大丈夫か? 怪我はないか?」


『ヴィクトリア・クライフィールド』は、そう言ってシーナに手を差し伸べる。

 シーナも、彼女のその行為や、オーラに圧倒されたらしく、

「あ、は、はい……だ、大丈夫です。ありがとうございます」

 と、「借りてきた猫」のように大人しくなり、ヴィクトリア・クライフィールドの手につかまった。

 シーナの手を取ったヴィクトリア・クライフィールドは、スッと力を入れていないかのようにシーナを立たせると、

「わたしの不注意で危ない目に会わせて悪かった。今、少々、『人探し』していて急いでいたもんでな……」

 と、ヴィクトリア・クライフィールドは笑顔で答える。

 シーナはそんな彼女を見て、少し頬を染めてボーッとしていた。


 そ、それにしても、何だろう……?

 何だか、さっき学生寮で会った時とは「別人」のようなんですが。

 さっきの『勝手に自己解釈する怖い先輩』は、どこへ?


 すると、ヴィクトリア・クライフィールドは、シーナの後ろにいた俺に気づくと、

「んっ? 何だ貴様? どうして貴様みたいな部外者の男子学生がこの『生徒会ルーム』にいる? そうか、侵入者か? そうなんだな? そうか、そうか、では、排除せねばなるまい……」

 寮で会った『勝手に自己解釈する怖い先輩』みつかりました。

「えっ? えっ? ちょ、ちょっと……待って」

 あせる俺を見て、シーナが我に返り、そして、

「ま、待ってください、生徒会長っ!?」

 シーナがヴィクトリア・クライフィールドを止めた。

「んっ? どうした? やはり、どこかケガでもしたのか? もしくは、この男子学生に何かされたか? なるほど、そういうことか……」

 なるほど、どういうことだよっ?!

 おいおい、すぐに『自己解釈するそのクセ』直して、もうちょっと人の話、聞いてくれよ、生徒会長さん。

 こえーよ、ただただ。

「ち、違います。この人はわたしのお兄ちゃんですからっ! 怪しい人ではないですからっ!」

 シーナは、すぐにヴィクトリア・クライフィールドの性格を『察した』らしく、あわてて止めに入る。

「そうか、兄か…………んっ? ということは、もしかして、『シスコンの兄からのセクハラ』についての相談だったか? だったら、話は早い。即刻、この場で『鉄拳反省』させてやろうっ!」

 そんなに話を早くしてまとめんなっ!

 なんだよ『鉄拳反省』って…………それって、ただの『暴力』ですから。

 もう、本当怖い、この人……。

「ち、違います、違います……っ! そういうことじゃなくて…………」

 シーナはさらに必死になって止めに入る。すると、

「んっ? 黒髪……? おい、男子学生……お前、名前は?」
「ハ、ハヤト……ハヤト・ニノミヤっていいます」
「ハ、『ハヤト・ニノミヤ』…………ま、まさかっ?!」

 ここでシーナが説明する。

「はい……そして、わたしはシーナ・ニノミヤ。生徒会の皆さんが探している『特別招待生』です」
「お、お前らが、『特別招待生』の兄妹…………」


 ヴィクトリア・クライフィールドは、やっと理解したようだった。