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猫の穴(2)

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海外でも似たように猫はどんどん死んでいった。
貧しい国の猫から次第にお金持ちの国に
野良猫や貧乏人の猫がばたばたと死んでいった。
そして、そのうち金持ちの猫も死んだ。

金持ちの猫を飼っているおばさんは、テレビの前で
なんでうちのかわいいうちのコドモたちがしななきゃいけないの
かわいそうだと騒いでいた。

うちにはまだ猫がいるのよこれ以上 黙っていられないわ
病気に殺させなんてしないわと息巻いていた。
資産をつぎ込んで、病気の対策チームや寄付を募るらしい。
国や政府は何をしているの?この緊急事態に?と怒りをあらわにしていた。
この病気は、人間には感染しないらしく手を打たなかったせいで
世界各地で深刻な状況を猫にもたらしている事を訴えていたが
難しくて途中からよく分からなかった。

ただ、薬の開発には年単位で時間がかかる。
そのあいだにもバタバタと猫は死んでいった。

2,3ヵ月後の病気の対策チームの話によると新しいタイプのウイルスである
ということが発表されてから何も音沙汰がなかった。
半年ぐらいたったとき、あるニュースが届いた。
バイオベンチャーの胡散臭いやつらがワクチンを作ることに成功したらしい。
本来なら、2年、3年かかる。こんなに早い時間で本当にできるのかと思うぐらい早かった。

動物の薬は保険がきかないのでとても高価だった
1個10万円はくだらなかったのが初期ロットは競争になりもっともっと
高い値段がついたらしい。

その会社は、大儲けするんだけれども、金のない人間には手が届かず
見殺しにしてしまったものも多くいたようだ。

ある研究者が、それに違和感を感じよく調べてみると
手馴れた人でも見落としてしまうぐらい小さな部分なのだがこのウイルスには人為的に作成した跡があった。どうやら、この会社が意図的にこのウイルスをばら撒いて大儲けしようとしたんじゃないかという論文が発表された。

それからの、報道や動物保護の団体の行動は早かった。
猫を助けた英雄から虐殺者へと扱いは変わり風刺画もたくさん書かれた
社会的なバッシングや裁判沙汰も世界各地で行われた。

裁判に出廷した社長「何も知らない」の一点張りで、典型的な悪い科学者の風貌で金に物を言わせ凄い弁護士を付けてことごとく裁判を潰していったしお金の力でもみ消しているという風の噂もささやかれた。

そんなときにKKKのような白い被り物に猫の耳がついた
過激な動物保護団体が現れた。
その集団が社長と警護の人間、
弁護士を集団リンチをして殺したというニュースが流れて
金儲けのために病気をばら撒いて大儲けした社長は殺されて、会社は解体、大手薬品会社に買収され消えてしまった。過激な暴徒たちは逮捕され一件落着したという報道だった。

それで、この話は世間的に終わりになった。

でも、実際はこの社長は本当に何も知らないし悪いことはしていなかった。
本当は、どこかの政府かテロリストか企業かがバイオテロを起こした場合に
どういう風に広がっているのか人間の生活に近い猫をモデルに試してみた
ということだった。そして感染経路の穴は見つかった。

次は、猫の穴から人間に・・・ 。

そこでこの話は終わっていた。

作品名:猫の穴(2) 作家名:人間