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猫の穴(1)

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ある日の朝、家の猫がふらふらしたと思ったらパタッと倒れた。
どうしたのかなと寄って抱えあげてみると猫はぐったりと力なく垂れ下がった。
これは様子が変だと思い、行きつけの動物病院の番号を調べた。
2度3度とかけてみるが全く繋がる気配がない。
もう、こうなったら直接行ったほうが早いと思い急いで準備をし出かけた。

近所にある動物病院に歩いていったが、
駐車場がいっぱいであるのが目に留まる。
こんな朝から車がこんなにあることに違和感を感じながら
病院の扉を開けた。

そこには、いつも見知った顔がちらほらと見える。
また、知らない顔も多かった。なにより人が多かった。
受付のお姉さんに、猫が病気で見て欲しいと伝えたが
今日は、早朝から多くの猫が病院に来ていて時間がかかる。
よくきていただいているから、初診の方よりは早く順番が回ってくるが
それでも2、3時間はかかるそうだ。
それじゃあ、近所ですいている他の動物病院はないか?と尋ねたが
ここ数日前にの他の動物病院にも尋ねたがどこも手一杯で空きがない
今日は他の地域の方も来るぐらい混んでいるのでここで見てもらうのが
一番はやいのではないかと教えてもらった。

近くで誰かが泣いている声が聞こえ、そっちを向いてみると
隣の隣の奥さんと娘さんが泣いていた。
あそこは、チャタロウという猫を飼っていたな。
茶色のトラジマもふもふの太っちょだった奴だ。
もう15歳も超えてて糖尿病になってからはやせて可哀想だったな。
毎日、インスリンをうって世話のかかる奴だったが
かわいがってもらっていた奴だ。そんなことを思い出した。
なんだか、話しかけづらいけれどもどうやら死んでしまったらしいことと
謎の病気で死んでしまったというのは話しているのが聞こえてきて分かった。

どうやら、他に動物病院に来ている客も猫ばかり連れてきているのがわかる。
客には、長時間またされてイラついたりどうしようという客。診察を終えて暗い顔で俯きがちに早々に家に帰る客。
診察をする前に息絶えてしまった猫を泣きながら抱える客に分かれているようだった。
待っている間は、自分の猫に大丈夫かとか話しかけたり病院の中をキョロキョロ見回したりしていた。
キョロキョロ見回すたびに近所の知っている猫が増えているのが分かり怖くなって、はやくみてくれよという焦りと死んでしまうんじゃないかという不安で気持ちが悪くなった。

やっと診察の順番が呼ばれて急いでいったが、医者によると
待合室でも分かるように謎の病気が流行っている。そして、手の施しようがない。できることは、
栄養剤と抗生物質の薬を飲ませてやれるだけと伝えられた。その間にも猫は弱っているのが感じられた。

家に帰ると、少し嫌がられたが薬を舐めさせ
とっておきの猫のエサとたっぷりの水を用意してやった。
いつもは上機嫌でむさぼり喰うやわらかなササミとカツオの奴だ。
でも今日は、少し食べたらもどしてしまった。
そして、泥のように眠りこけているようだった。
自分も朝からご飯も食べずに動いていたのでお腹がすいたのでご飯を食べて猫を眺めていると朝から動いた疲れで眠ってしまった。

気がつくと夕方だった。
猫は大丈夫かなと様子を見に行くと、いつも呼吸をするたびに動いているお腹が全く動いていなかった。
おかしいと思い息を確認しようとさわると、
もうすでに冷たくなって息もなかった。
昨日まで元気だったのに、頭が事態についていけずに混乱したが
ゆっくりと状況が飲み込んでいけると悲しくなってしまった。

次の日の朝になると元気になって戻ってくるんじゃないかと思ったが
結局昨日のままで、現実を受け入れざる終えなかった。
次の次の夕方に、庭の木の下に猫を埋めた。

次の次の次の日に、ネットを開いてその病気について調べることにした。
ネコ・病気で検索するとどうやら3週間前から猫の不審死が散発的に起こっていたらしい。最初は、一部地域の野良猫の大量死だった。
誰かが殺鼠剤をエサに混ぜて殺したんじゃないかという話題だった。
それから、ブログでうちの猫の様子がおかしいという記事が出てきた。
ここ一週間で、ペットの猫がお星様になったというのが多く書かれていた。

あー、うちの猫と似ているなとぼんやり思うが、気持ちがしんどくてそれ以上調べずに終わった。
検索には、海外のサイトもヒットしていたが英語が読めなかったのでスルーしていた。



作品名:猫の穴(1) 作家名:人間